傾聴・応答の上達に一番必要なことを解説します。
ロールプレイをいくらやっても、はっきり上達できたという実感がない。
同じような失敗を繰り返し、行き詰まった。
そういう声をよく聞きます。
原因は上達できない学習、行き詰まるようなトレーニングのやり方をしているからです。
そこで今回は傾聴力を向上し、カウンセリングの応答技法をマスターするために大切なことについてまとめてみました。
もくじ
傾聴力を高めるために一番必要なこと
「どうして相手の話がちゃんと聞けないのだろう」
「話を聞いた後に、どう受け答えしていいか迷う」
個別レッスンを実施していて、そういう声をよく聞きます。
せっかくなので、この悩みを個別レッスンで解決してますが・・・
ただ、個別レッスンを継続したり、傾聴スキルセミナーを受講した人でも、このような「聞けない」「応えられない」という壁にはぶつかります。
何事でも「上達する」ためには、それ相応の試行錯誤や経験値が必要です。
つまり、上達には上達するまでの時間と労力が必要になるわけです。
ですから、そこは壁を突破するためにまず「あきらめない」「継続する」という姿勢と行動が求められます。
多くの人が上達する前に止めてしまったり、別なことに手を伸ばします。
結果、何一つ満足に習得することなく「スキルショッピング」に陥ります。
上達する最大のコツは、上達するまで努力を継続することです。
そんなの当たり前と思うでしょうが、できない人が多いのです。
頭でわかっている(つもり)のと、実際にそれだけ行動できるかはやはり同じことではないようです。
ですから、上達するために先ず重要なことは、継続です。
ほとんどの人が続けなさすぎるという話なんです。
ただ、この継続ということに加えて、実は「聞けない」「応えられない」という壁を突破するには、もう一つ大事なことがあります。
傾聴ができないのは注意・集中の問題
「聞けるようになる」「応えられるようになる」ためにとても重要なこと。
それは「注意・集中」の問題です。
ほとんどの人が必要なことから注意が逸れたり、集中が途切れたりしてしまうのです。
もちろん、この場合の必要なこととは「相手が一番言いたいことは何か」ということ。
ここに話の最後まで注意を一切そらさずに向け続けること、集中し続けることができれば、結果として「聞けるようになる」「応えられるようになる」わけです。
では、なぜ多くの人がこの「相手が一番言いたいことは何か」から注意・集中が逸れたり切れたりしてしまうのでしょうか。
答えは意外にシンプルなものです。
ほとんどの人が「余計なことを考え始める」からです。
傾聴のコツはこれ
相手が話している最中に、相手が伝えようとしていること以外のことを考え始めています。
「一番言いたいこと」から注意が逸れたり、集中できなくなったりしているのです。
結果として聞けていないので、しっかりとした理解も持てません。
しっかりとした理解がないから、そこから応答(受け答え)も導き出せません。
もっとわかりやすく言うと、人の話を聞きながら違うことを考えているんです。
「この人が一番私に伝えたいことは何なのだろう」
ひたすらこの観点で話を聞き続けられれば、本当に何を伝えようとしているかがわかるようになっていきます。
しかし、この意識や集中状態が一秒でも切れる瞬間があれば、もうそれ以降は何が言いたいかもわからなくなってしまいます。
そう、ほんの一秒でも注意が逸れたり、集中が途切れたりすれば、もうそこから注意力も集中力も落ちたままになります。
その一瞬の油断やスキによって、そこからの話は理解できなくなるといってもいいでしょう。
皆さんが聞けない、応えられないというのは、こうした一瞬の注意・集中の欠如が、おそらく一つの話でも何度も起きていると思っていいでしょうね。
だから、先ずは一瞬でもこうした注意の逸れ、集中の途切れが起きないようにすること。
「一番言いたいことは何か」に対する注意・集中を最後まで一瞬でも切らさないこと。
これが「聞けるようになる」「応えられるようになる」につながります。
私がおこなっている演習問題、逐語記録の分析などによるトレーニングも、必要な(大事な)ことへの注意・集中を鍛えるのが目的です。
一言半句に注意を向け、それらをまとまった意味として理解するために集中を切らさない。
それが傾聴の極意だといってもいいと思いますし、ここがわかれば上達していきます。
ロールプレイを何度やっても上達できないジレンマとは?
「カウンセリングで適切な応答がスムーズに出てくるのは何故か」
カウンセリングの勉強していて、まずはじめにぶつかる大きな壁があります。
それは「適切な応答ができない」という壁です。
例えばロールプレイなどでカウンセラー役をやったとします。
クライエント役の話を聞きながら、適宜、聞き手は言葉を返していきます。
つまりクライエントの話を聞きながら応答をしていくわけです。
ところが、この応答がなかなかうまくできない。
そもそも、どのように言葉を返していいかわからなくなる。
でも、何か反応をしなければと焦るので、無理やり応答する。
無理やりな応答のため、とても不自然になる。
相手が話してくれた話と応答とが噛み合わなくなる。
それでもロールプレイは続く。
つまり、話し手は話を続ける。
聞き手はさらに話についていけなくなり、余計にずれた応答を続ける。
結果として、ロールプレイで聞き手はガタガタになっていく。
こんな経験をしたり、こんな場面に遭遇したことはないでしょうか?
カウンセラーの廃業は経済的な理由だけではない
話を聞いている途中から「次は何と言葉を返せばいいのか?」とか「少しでも役に立つことを言わなければ」ということばかり考えてしまう。
そのため、余計に話が聞けなくなり、もう、どういう応答をしていいか全くわからなくなる。
こんな風に泥沼にはまっていく学習者がたくさんいるのです。
実際のセッションでも、同じようなことが起こります。
クライエントの話を聞けば聞くほどカウンセラーは自分でも「とんちんかんだな・・」としか思えないような応答を連発する。
セッションが進めば進むほど、冷や汗の量も増える。
セッションが終わった後、 カウンセラーは一人で落ち込むか、「これで良かったんだ」と、無理やり自分に言い聞かせるかする。
そして、 また次のセッションに向けてモヤモヤした気持ちで臨むか、「次はうまくやる」と、空元気を出すしかなくなる。
そうやって学習者やカウンセラーの前には、大きな壁が立ちはだかり続けるのです。
しかし、 こんなことをずっと続けていては、先はありません。
廃業するカウンセラーが多いのは、 経済的に事業が成り立たなくなるからだけでなく、こうした臨床力に対する限界や挫折感が理由だったりもします。
これを防ぐには、そしてしっかりとしたカウンセリングを行うには、適切な対応につながる「応答の力」を身につけるしかありません。
では、 適切な応答はどうしたら自然に出てくるのでしょうか。
カウンセリングの応答力向上のカギは
それを考えるためには、そもそも適切な応答が生まれるメカニズムを知る必要があります。
なぜ適切な音が生まれるかと言うと、的確で深い理解が得られているからです。
もっと分かりやすく言うと「なるほど、そうか!そういうことか!」という「分かった」という感覚から 、適切な応答は生まれるのです。
私たちは、人の話を聞いていたり物事を観察していたり、情報をインプットしてる時、その対象についてのしっかりとした理解が持てた時、それをある程度言語化できるのです。
つまり、クライエントの話を聞いてしっかりとした理解が生まれた時、その理解が自然と言葉になるということです。
これが適切な応答が生まれるメカニズムです。
ということは、しっかりとした理解を得るために、私たちは相手の話をきちんと聞く必要があります。
このメルマガでも再三お伝えしてきたように「相手の話をできる限り正確に聞く」必要があるのです。
そのために「相手の話を正確に聞くこと、聞けること」=傾聴が求められるのです。
さらに相手の話を正確に聞き続ける(傾聴をし続ける)ためには、鋭く深い集中力を維持する必要がどうしても出てきます。
その集中力を維持するためには、 相手や相手自身に対する強い興味・関心が必要になります。
ということは、傾聴やカウンセリングで必要なことは、「クライエントに対する強い興味・関心」ということになります。
これをカール・R・ロジャーズは「積極的関心」「肯定的配慮」と呼びました。
こうして整理していくと、 適切な応答が返せないという壁を乗り越えるには、分からないことに対する純粋な好奇心が必要だということが分かると思います。
目の前のクライエントのこと、 クライエントが直面している困難について「もっと知りたい、 もっと理解したい」という強い思いを持ち続けること。
これが カウンセリングを学ぶ上でも、 傾聴を実践する上でも、そして「適切な応答を投げ返し続ける」上でも、一番大事なことだと言えるでしょう。
【動画】カール・R・ロジャースの来談者中心療法と応答技法
最後にカウンセリングを深める応答技法について短い動画でわかりやすくお伝えします。
カウンセリングや傾聴の勉強や実践に悩んでいる人は、特に必見です。
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