カウンセリングとは何かについて、改めて解説します。
心理カウンセリングとは心理療法の一つですのでセラピーといえますが、セラピーという意識で行うと失敗します。
一体どういうことなのか?
セラピーなのにセラピーという意識で行わないとは?
とっても大切なお話になりますので、以下をお読みください。
もくじ
カウンセリングは心理療法の一つであり人間関係の一つ
カウンセリングとは何か?
カウンセリングの意味は?
改めて捉え直してみましょう。
カウンセリングは心理療法の一つです。
そういう意味では「セラピー」なのですが、それはあくまでも結果的にセラピー効果があるということです。
カウンセリングは人間関係であり、対話でもあります。
人と人との血の通った交流だともいえます。
言葉を介した意思の疎通、コミュニケーションそのものです。
ですから、カウンセリングでは人間関係も大切にし、対話も意思疎通も大切にします。
血の通った交流を目指し、コミュニケーションを丁寧に行います。
そうした血の通ったあたたかい、深いコミュニケーションによって経験した人間関係によって、クライエントの心の問題は解決し、精神機能も回復していきます。
心理カウンセリングはカウンセラーの言葉(応答)で決まる
メンタルカウンセリング(心理カウンセリング)では、言葉の一つひとつがクライエントの心にいろいろな影響を与えます。
だから、カウンセラーの口にするたった一言であっても疎かにはできません。
むしろカウンセラーのたった一言でクライエントの心が大きく動くことも。
以前のカウンセリングで、こんな場面がありました。
クライエントのAさん(30代女性)は、友達に傷つけられる経験をしました。
信じていた友達が、自分をビジネスに誘いたいから声をかけただけだったと知り、Aさんは深く傷ついたというのです。
お話を聞きながら、私の中でAさんが裏切られたと思った場面を想像していました。
リアルなイメージから、ある言葉が浮かんできました。
私はその言葉をそのまま、クライエントのAさんに向けて口にしました。
「あなたにしてみれば、その方(友達)に、自分の心に土足で踏み入られたような感じがしたのですね」
Aさんは、その一言で救われたと言っていました。
自分がなぜここまで傷つき、長い間立ち直れずにいたのかを、私の言葉を耳にした時にはっきりと悟ることが出来たからだそうです。
人は自分の真実を知ることで、それがどんなにつらく絶望的なものでも、時には心から救われるものなのです。
おそらくこの一言が、これとちょっとでも違う言葉や表現であっても、Aさんは救われた気持ちにはならなかったかもしれません。
まさにこの一言だったからこそ、Aさんは救われる思いがしたのでしょう。
それほどに言葉は大きなきっかけにもなるし、人を深く傷つけることにもなります。
私が口にしたその言葉をAさんが聞き、受け取れた瞬間、そこには血の通った心の交流が生まれていたことは間違いありません。
カウンセリングとは何か?それは・・・
カウンセリングとは何か?
それは言葉を紡いでいく心の交流ともいえるかもしれません。
いろんな表現が可能だとは思いますが、やはり大事なのはクライエントが元気になること。
立ち直るための勇気を得て、そのために必要な行動を起こせることです。
そういうプロセスを繋ぐのは、やはり血の通った言葉、魂の言葉でしょう。
カウンセラーの言葉にそうした力、可能性をいかに吹き込めるか?
これがカウンセリングの効果として重要なことだといえるでしょう。
ですからカウンセリングや傾聴のトレーニングは、こうした言葉を活かせる力ともいえるのです。
傾聴力、その反射神経を磨くということは、言葉の吸収力、言葉の選択力を磨くことに等しいともいえますね。
心理カウンセリングはセラピー?
カウンセリングはセラピーだけどセラピーじゃない。
セラピーは日本語にすると「現代医学で行う、新しい治療法。特に、手術や投薬を伴わない、心理療法・物理療法」となります。
つまり、カウンセリングは心理療法の一つなので「セラピー」に分類できます。
しかし、私は敢えて「セラピーだけどセラピーじゃない」と書きました。
どういうことかというと、目的の一つとしてセラピーではあるし、結果的にセラピーとして機能するものでもあります。
しかし、それを提供する側の人間(カウンセラー)は、セラピーを意識し過ぎると失敗するよということです。
カウンセリングをする際には、セラピーということをあまり意識しない。
そうする方が逆にセラピー効果が高くなるといえるのです。
一体どういうことなのかをこれから簡単に解説します。
カウンセリングは理解に専念できるほど成功する
このテーマを考えるにはまず、カウンセリングとは何かということを捉える必要があります。
いろいろな捉え方がありますが、ここでは「人間関係の一つである」とします。
実際にセミナーなどでは、私はカウンセリングの定義を別にしていますが、今回は人間関係の一つとして捉えます。
ではどのような人間関係かというと、カウンセラーとクライエントとの人間関係です。
そして、互いに対話を重ねていくことで、この関係は深まっていきます。
そこに親しみが生まれ、信頼が生まれ、理解が深まり、あたたかい関係性に育っていく。
そうして問題解決に共に取り組む同志のような意識も芽生えます。
こんな関係性の中で、カウンセリングではどのようなことを経験するのでしょうか?
クライエントにとっては先ず「理解される」という経験です。
それまで理解されない苦しみを経験してきたクライエントが、カウンセラーによって初めて理解されるという経験を得ます。
他方、カウンセラーはクライエントの理解に努めます。
クライエントが話してくれること、クライエントが抱えている問題や苦難、クライエントの人となりをできる限り理解しようとします。
ですからカウンセリングはカウンセラーが「理解」を通してクライエントの人間性にふれる機会だといえます。
クライエントの人となり、歩んできた人生、クライエントのそうしたものに接していくといってもいいでしょう。
カウンセリングにおいては、カウンセラーはこうした「接する」ということを通してクライエントの理解にひたすら努めることが必要です。
そんな折に「クライエントを良くしよう、直そう、いろいろアドバイスしよう(教えよう)」などと思う余地はないはずです。
現代のカウンセリングの基礎を築いたカール・R・ロジャーズはこう言っています。
「カウンセラーはクライエントを理解することに専念することだ」
他の余計なことはするな、考えるなということです。
カウンセリングで最も大切なことはこれ
実際、私もカウンセリングの際には、こうした意識しかありません。
クライエントが発する一言一言を通して、言いたいこと、伝えたいこと、経験してきた様々なことを少しでも理解したいと思って聞いています。
もう「理解しよう」ということ以外はやっていない意識です。
その瞬間瞬間では「セラピー」などという意識はない方がいいですね。
クライエントが自分自身のことを、自分の人生のことを全力で話している。
その話を聞かせて頂いている時に「セラピー」のことが頭をよぎる。
正直、こんな「野暮な話」はないんですよ。
これも何度も伝えてきたことですが、カウンセラーといっても何か特別なことはできません。
大の大人が四面楚歌、八方ふさがりになってカウンセリングを受ける。
そんな問題に対して、いくら専門家といっても最初は無力です。
お互いに「どうすればいいんでしょうね・・・」と途方にくれます。
カウンセリングのスタートは、互いに途方に暮れるところから始まります。
クライエントの話をしっかりと聞けるようになると、途方に暮れるしかなくなります。
もし、クライエントの話を聞いても途方に暮れないのであれば、聞き方が不十分か、理解が浅いか、そのいずれかでしょう。
ちゃんと聞けて理解ができれば、これは大変なことだとなります。
例え、世間では些細なことだと捉えられている問題でも、クライエントにとっては重大な、大変な問題になっている。
そういうクライエントが感じている重大さ、大変さをわかち合うことが大事なんです。
その理解も「本当の意味で」できていることがさらに重要です。
カウンセリングはセラピーだけどセラピーじゃない。
その意味がおわかり頂けましたでしょうか?
大事なのは目の前のクライエントを一人の人間として最大限に尊重すること。
クライエントの人となり、人生の歩みにふれ、一つひとつを感慨深く味わうこと。
その結果としてセラピー効果が出てくるということです。
【動画】カール・ロジャーズの非指示的カウンセリングの実際
最後に、カウンセリングの礎を築いた巨人、カール・R・ロジャーズの来談者中心療法の要、g非指示的カウンセリングの実際について、短い動画でまとめてみました。
ツボを簡潔に、そしてわかりやすくまとめましたので、ぜひご覧ください。
「臨床カウンセラー養成塾の無料メルマガ」でもっと読める!
こうした内容をもっと知りたいという方のために「臨床カウンセラー養成塾」のメルマガをお届けしています。あなたのスマホ、タブレット、PCに無料で読むことができます。ご購読をご希望される方は、下記からご登録頂けます。メールは「臨床カウンセラー養成塾」という件名で届きます。購読解除はメルマガの巻末(下部)より、いつでも出来ます。興味のある方はご購読ください。
追伸:
さらに、傾聴について、こうした皆が知らない真実を、今回一冊のレポート(56ページのPDF無料レポート)にまとめました。
無料PDFレポート「誤解されている傾聴スキル8つの真実」
~形だけの傾聴から、人と心通わす傾聴へ~
こういう話は、おそらく他では知り得ないと思います。
本当の意味で、現場で使える傾聴を身につけたい、そのために必要なことを知っておきたいという方。
下記フォームにお名前とメールアドレスを記入して「登録する」をクリックすると、PDFレポート(サポートメルマガつき)が届きますので、読んでみてください。
【無料PDFレポート「誤解されている傾聴スキル8つの真実」】
↓ ↓ ↓ ↓
【月額2980円のオンライン講座】
傾聴・カウンセリングや心理学、人生100年時代の幸せな生き方を学習できる「オンライン講座」が好評です。
会員限定サイトの動画セミナー、コラム記事が、スマホ・PC・タブレットから見放題でなんと月額2980円!
最近のコメント