どうしたらカウンセリングの技法は身につくのか

どうしたらカウンセリングの技法は身につくのかについて解説します。

カウンセリングの技法とは何か?

どうすれば身につくのか。

多くの学習者が試行錯誤しているこのテーマに真正面から記事を書きました。

そしてそれはあのカール・R・ロジャーズの試行錯誤を知ることで理解が深まります。

なぜカール・R・ロジャーズは来談者中心療法に行きついたのか?

なぜカール・R・ロジャーズは来談者中心療法に行きついたのか?

多くの学習者はそのことを知らないようです。

現在のセラピー、心理(精神)両方の基盤となっているカウンセリング。

そのカウンセリングの基礎ともいえるものに、来談者中心療法があります。

このメルマガをお読みの皆さんもよく知っている心理療法でしょう。

創始したのはアメリカの心理学者であり、セラピストであったカール・R・ロジャース。

ロジャーズはどんな試行錯誤を経て、この心理療法を築いたのでしょうか。

途方に暮れたカール・ロジャーズが開眼?

実はロジャーズはこの心理療法を苦しみ抜いて創始したと言っても過言ではないのです。

若い頃ロジャーズは、主に教育相談などを行っていました。

そこには子供の他、その保護者も多く来談しました。

ロジャーズは子どもやその保護者に対して、初めのうちは様々なアドバイスを行いました。

しかし、なかなかその面接の成果が上がらない日々が続いたそうです。

つまり、アドバイスを行う面接方法の限界にぶちあたったのです。

ロジャーズは色々な角度から新たなアドバイスを試みました。

アドバイスの伝え方を工夫したりして、なんとか成果につなげようとしました。

しかし、 その後も思うような成果が上がらない日々が続いたそうです。

やがてロジャーズはアドバイスが出来なくなりました。

ロジャーズの言葉を借りると「ただ聞くことしかできなくなった」そうです。

しかし、 ロジャーズはここから転機を迎えます。

傾聴はただ話を聞いているだけではない

ただ聞くことしかできない。

つまり収支「傾聴」していただけの面接が続いたにも関わらず、以前よりも成果が上がるようになったというのです。

アドバイスを控えるようになって、逆に成果が上がるようになったわけです。

もちろん、 漫然と聞くだけの面接を続けたわけではありません。

ロジャーズ自身は「ただ聞くことしかできなかった」 と表現してはいますが・・

実際は、クライエントの話を聞いた後に何らかのレスポンスを返していました。

そうです、 それが「応答」です。

つまり、カウンセリングが成果を上げるかどうかは、この「応答」にかかっているのです。

クライエントの話を聞いた後、 カウンセラーがどんな応答で応じるのか。

その応答によってカウンセリングの成否が決まってくるわけです。

カウンセリングの応答がオウム返しではダメな理由

その応答がクライエントの洞察に繋がるものか。

問題の理解や整理に繋がるものか。

クライエントの感情が落ち着き、 精神機能の回復に繋がるものか。

クライエントの新たな発見や気づきに繋がるものか。

そして、 どうしたらそのような応答を導き出せるのか。

結局カウンセリングや傾聴のトレーニングは、 ここの部分に尽きるといってもいいでしょう。
だから応答トレーニングは非常に重要であり、良質の応答を導き出すための傾聴力もまた重要であるのです。

ですから、その応答が言葉の繰り返しやオウム返しであるはずがないのです。

感情表現を切り取って繰り返すようなものでもないでしょう。

カウンセリング技法の主役は応答

そうした応答が本当にクライエントの真の洞察や気づきに繋がったり、クライエントの心理的変化や成長に繋がるものなのでしょうか。

ちょっと考えてみたらわかりますよね。

クライエントの話への応答ですから、クライアントの話によって、毎回違った応答になってきます。

複雑な話に対しての応答。

長い話に対する応答。

たった一言に対する応答。

これらが同じであるはずはないし、オウム返しであるはずもありません。

一つ一つの話はどういう話なのか。

一つ一つの話をどう聞き、どう理解し、どう受け止め、どんな言葉にできるのか。

カウンセリングや傾聴のトレーニングは、こうした応答トレーニングがメインになります。

その上で、事例全体の検討、細部から長期的視点に立つまで、縦横無尽に見立てていくトレーニングも必須です。

私が主催している臨床カウンセラー養成塾では、応答トレーニングに加え、ロールプレイ、事例検討、逐語検討、教育分析など。

総合的な対応力を身につけるための実践的な訓練メニューを用意しています。

ロジャーズはその応答を磨くために逐語検討を何よりも重視しました。

一言一句のレベルで言葉を分析し、そこから見えてくる様々な要素を徹底的に検討したのです。

ロジャーズが苦しみ抜いた末にたどり着いた来談者中心療法。

その真髄はやはり応答力にあると言えるでしょう。

【動画】カール・ロジャーズの傾聴・共感的理解のコツ

最後に「カール・ロジャーズの傾聴・共感的理解のコツ」について、短い動画で解説します。

カウンセリングの技法を理解する上で必須の内容なので、ぜひご視聴ください。

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心理カウンセラー・臨床カウンセラー養成塾 塾長 鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

台湾でも出版された「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」の著者で、心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。
コーチとしても様々な目標達成に携わる。
 詳しいプロフィールはこちら

著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」