カウンセリングの勉強をしていると、とても漠然とした中に自分が取り残されたような気持になる人がいます。
それは教える側が漠然とした形で教えてしまうことも一因です。
しかし、そもそもカウンセリングというものが、一見掴みどころのない部分があったり、果てしない取り組みで先が見えない感じがして、半ば途方に暮れるということもあります。
そんなカウンセリングを学んだり、実際に携わっていく人たちに、いったいどのくらいの経験を積んだらカウンセラーとして一人前になれるのかについて、書いてみました。
もくじ
カウンセラーは何年やれば一人前?
カウンセリングの経験値はどのように積んでいけるのか?
かつて佐治守夫という臨床家が、自身の著書でこんなことを書いていました。
「カウンセラーとしてやっていって、5年やれば何かが見えてくる。
10年やれば一通り自分でできるようになる。
だから10年やってものにならなければ、あきらめたほうが良い」
私がこの言葉に触れたころは、確かカウンセラーとして活動してまだ3年くらいだったと思います。
5年やれば何かが見えてくる・・・という言葉が、その頃の自分には重くのしかかってきたことを覚えています。
現在はカウンセリング業をはじめてもうすぐ18年目に入ろうというところです。
お陰様で今もなんとかやれているのですが、自分が佐治氏のいう「一人前」に到達しているかは、正直、わかりません。
ただ、一人でやっていく中で困ることはないので、まあまあかな・・と思っています。
何年やったか、何回カウンセリングをしたかよりも大切なこと
ただ、5年とか10年とか18年とはいいますが、その年月でどう取り組んできたかが重要です。
ただ漫然と年月を経ても、それは「経験値」とはいえません。
臨床の経験値とは、一つ一つのケースをどれだけ深く検討してきたか。
そうした深い検討、研究の積み重ねから得られるものといえます。
つまり、何年やっているとか、何件カウンセリングをしてきたとか、それだけではどのくらいの経験値があるかは見えないのです。
漫然とこなした10,000件の臨床よりも、一つ一つ深く検討してきた500件の方が、経験値としては上です。
これは、私の師匠から教えられたことでもあり、師匠みずからが実践を通して見せてくれた教えでもあります。
ですがここで問題になるのは「深く検討」の「深く」でしょう。
一体どうすれば深く検討できるのか?
そもそも「検討」ってどうすればいいのか?
そんな疑問が浮かんでくるのではないでしょうか。
逐語検討が最も必要で効果的なトレーニング
私がここでいう検討とは、もちろん事例検討です。
そして、基本的には逐語記録、録音記録やそれに準ずるものを用います。
そして、事例全体、加えてやり取りの一言半句をチェックしていきます。
逐語検討は本当に興味深い発見の宝庫です。
人は自分の内面や経験の世界をいろいろな形で言葉にしていきます。
そういう言葉を一語たりともおろそかにせず、一つ一つの言葉が使われた意味、背景や、その裏にある微妙な感情。
これらの要素を厳密に検討していくこと。
この厳密な検討から見えてくるもの、理解できてくるものがあります。
深い検討の「深さ」は、検討から見えてくるもの、理解できるものがいかに多く、いかに的を得ているかと同義です。
さらに逐語記録の検討では、クライエントの真意、内面だけでなく、その心理状態や病態まで検討可能です。
統合失調症や強迫性障害にも逐語検討は必須
統合失調症のクライエントの逐語検討を行うと、妄想か現実か、妄想からくる葛藤か、現実的な葛藤かが弁別できます。
逆にこれは逐語検討だからこそ弁別可能だともいえます。
なぜそんなことが言えるかというと、実際に逐語検討で見えてきたものだからです。
強迫性障害のクライエントの逐語検討も同様です。
これは強迫観念なのか、それとも現実的な感覚、考え、葛藤なのか。
その弁別は強迫性障害のケアには非常に重要となります。
また、強迫性障害の方は、フッとしたきっかけで目の前のことに集中できる場合があります。
これもカウンセリングの対話の流れ(絶妙な応答)などで起こることで、こうした糸口の発見も逐語検討から見えてきます。
逐語検討の主は、やはりカウンセラーの応答検討です。
この応答で上手くいっていないが、ではどういう応答だったら違ったのか?
Aという応答で失敗したなら、ではBという応答は、いやいやCという応答はどうか?
BやCという応答だと、その後の展開がどうなっただろうか?
こういう検討を積み重ねていけば、傾聴・カウンセリングのスキルは確実に向上します。
そしてこれこそがまさに、臨床の反射神経が養われていく過程なのです。
そして、こうして現場からの様々な角度の研究、確かな検討の積み重ねが臨床の「経験値」となっていくわけです。
こうした地道な検討を地道にずっと続けていくことが、佐治氏がふれていた「5年」「10年」がそのまま経験値になる積み重ねといえるでしょう。
【動画】カウンセリングの傾聴力を磨く「応答演習問題」
最後に、実際に私の塾で受講生にトライしてもらっている応答演習について短い動画で解説しています。
本来は非公開の内容なのですが、具体的に逐語を使用しての演習なので、ぜひご視聴ください。
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