もくじ
9割が勘違い?「人の話を聞く」の真実と、プロが教える傾聴の極意
「自分は聞き上手だ」「人の話をしっかり聞けている」――あなたはそう思っていませんか?
私が行っている傾聴トレーニングやレッスンでの衝撃的事実。
それは「自分は話を聞くのが得意だ」と思っている人の90%以上が、実はちゃんと聞けてません。
なぜ多くの人が「聞けていない」のか?
そして本当に「聞ける」ようになるための道のりについて解説します。
【筆者プロフィール】
心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。コーチとしても様々な目標達成に携わる。
著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」は台湾でも出版された。
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衝撃の事実:あなたは本当に「正確に」聞けていますか?
「傾聴(けいちょう)」とは、単に耳を傾けることではなく、相手の話を正確に聞くことを指します。
しかし、自分ではできているつもりでも、実際の会話を分析してみると、驚くほど聞けていないケースがほとんどです。
プロの指導現場では、会話の録音記録や、一言一句を書き起こした「逐語記録(ちくごきろく)」を使って分析を行います。
音声と文字記録を突き合わせてチェックすると、以下のような現実が浮き彫りになります。
• 相手が言ったことを正確に捉えていない
• 適切な応答ができていない
• 共感が不十分である
自分では完璧だと思っていても、客観的な記録を通すと「全滅に近い」状態であることに気づかされるのです。
なぜ「自分は聞ける」と思う人ほど上達しないのか?
レッスンの場で「以前よりだいぶ聞けるようになった」と自信満々に話す人ほど、実際には聞けていません。
これは、自分の認識と、実際にやっていることの間に巨大なギャップがあるためです。
自分の実力を正確に把握できていないこと自体が、上達を妨げる壁になっているのです。
21年以上のキャリアを持つ私でも、「正確に聞けているか」と問われれば、自分に高い点数はつけられません。
毎回のカウンセリングが終わるたびに、「あの時、もっと違う反応をすればよかった」「あの応答は重すぎたのではないか」と常に振り返り、課題を見つけ出しています。
傾聴力をつけるには、まず「自分はまだまだだ」という自覚をもつことがスタートです。
「上達する人」に見られる共通のサイン
傾聴が本当に上達していく人たちには、共通の特徴があります。
それは、力がついてくるほど「自分は全然できていない」「まだまだです」と口にするようになることです。
これは単なる謙遜(けんそん)ではありません。
上達するにつれて、以下の2つの変化が起こるからです。
1. 自己認識の向上: 自分の力を正確に自覚できるようになる。
2. 課題の発見: 向上心があるからこそ、次に進むための「建設的な課題」が見えてくる。
つまり、「できない自分」を突きつけられ、それを自分のテーマとして受け入れられる人こそが、真の実践的な成長を遂げることができます。
傾聴の学習は「人間としての成長」そのもの
傾聴を学ぶことは、単なるコミュニケーションスキルの習得にとどまりません。
それは、自分自身の人間性を磨くプロセスでもあります。
終わりなき探求の面白さ
傾聴の勉強は、常に自分の至らなさを突きつけられる厳しいものです。
しかし、それを学んでいる人たちは口を揃えて「面白い」と言います。
その理由は、学習を通じて以下のような実感が得られるからです。
• 新たな発見がある: 自分や相手に対する深い洞察が得られる。
• 人間関係が変わる: 聞き方が変わることで、周囲とのコミュニケーションが劇的に変化する。
• 仕事の質が変わる: 波及効果として、仕事の仕方や成果にも良い影響が出る。
人として成長しなければ、本当の意味で「聞ける」ようにはなりません。
だからこそ、傾聴の学習は一生続く深いテーマなのです。
まとめ:諦めずに「聞くこと」と向き合い続ける
傾聴には終わりがありません。プロの師匠(達人)と比較すれば、何十年続けても「まだまだ先は長い」と感じるのがこの道です。
しかし、20年前の自分と比較すれば、はるかに聞けるようになっているという確かな手応えも得られます。
「成長した自分」と「まだまだな自分」の両方が混在しているバランスこそが、学習を続ける上で健全な状態と言えるでしょう。
もし、あなたが「なかなか上達しない」と悩んでいるなら、それはあなたが真剣に自分と向き合い、課題を見つけられている証拠です。
諦めずに取り組んだ分だけ、必ず得られるものがあります。
今日から、まずは「自分は本当に聞けているだろうか?」と疑ってみることから始めてみませんか。
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