傾聴スキルのトレーニングで上達する人、しない人の違い

傾聴スキルのトレーニングでなかなか上達しない、聞けるようにならないという人は多いと思います。

なぜなかなか上達しないのか?

上達しないのにはいくつか原因があります。

その原因と上達の秘訣について、以下にお伝えします。

【筆者プロフィール】
心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。コーチとしても様々な目標達成に携わる。
著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」は台湾でも出版された。
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傾聴スキルの勉強の仕方がわからない、この悩みが一番多い

実は、傾聴の勉強でぶつかる壁、行き詰りには2種類あるんです。

臨床カウンセラー養成塾という私塾を立ち上げて10年が過ぎました。

当時から開催してきた「 傾聴スキルセミナー」も、おかげさまで10年以上続いていることになります。

そもそも、臨床カウンセラー養成塾をなぜ立ち上げようと思ったのか。

それには理由があります。

私はきちんとしたカウンセラーになろうと思い、ある臨床家に師事しました。

当時、臨床経験40年以上もあった吉田哲です。

吉田から学んだことは、他の学習機関では絶対に学べないことばかりでした。

なぜなら、 吉田の臨床の力とその経験値がずば抜けていたからです。

カウンセリングの勉強を続けていると、ある段階で行き詰まってくることがあります。

しかし、その行き詰まりには2種類の行き詰まりがあります。

一つは、実力がなかなか伸びないという行き詰まり。

これは誰もが経験することです。

しかし問題なのはもう一つの行き詰まり。

勉強の仕方がわからないという行き詰りです。

傾聴の勉強が行き詰る原因は指導者、講師にある?

前者の行き詰まりはどんなに正しい勉強法やトレーニングを続けても誰もが陥る行き詰まり。

しかし、 後者の行き詰まりは正しい勉強法やトレーニングを受けられていない場合に陥る行き詰まりです。

そしてカウンセリング業界にはこのように、学習法やトレーニングのやり方そのもので、行き詰ってしまう人たちがものすごくたくさんいることがわかりました。

というよりも、正しい勉強法やトレーニングを受けられない人たちがほとんどであると・・・

原因はカウンセリングを教えている人間、講師が十分な臨床経験を積んでいないということです。

十分に積んでいないどころか、まともにカウンセリングもしたことがない人たちがカウンセリングを教えている。

それが日本のカウンセリング業界の現状なのです。

ですから、 受講生の具体的な質問に答えられずにお茶を濁す。

臨床場面の様々な対応を具体的に教えることができない。

そうした弊害をまともに食らっているのがカウンセリングの学習者だということになります。

「カウンセラー資格を売る学校、買う生徒」という構図が行き詰まりを生む

そして多くは「資格」というものによって生徒が集められ、そこに授業料、レッスン料、試験料、資格維持の講習料などでビジネスを成立させる。

そういう構図で成り立ってはいるが、肝心の指導内容が妥協の産物に過ぎない。

だから日本のカウンセラー業界は、資格を取ってもカウンセリングが出来ずにドンドン行き詰るばかりとなっていくわけです。

私はそんな現場を見て、 自分自身が確かな事を教えられてきたことの幸運を感じました。

そして、 しっかりとした学習を経験できない人たちに、少しでも役に立つことができないかと考えました。

そして立ち上げたのが臨床カウンセラー養成塾です。

私塾の名前に敢えて「臨床」という言葉を入れたのも、こうした考えからです。

その養成塾で「 傾聴スキルセミナー」がずっと続いているのも、こうしたニーズに応えられているからではないかと思っています。

同じテーマで10年以上続いているセミナーというのはそんなに多くはないと思います。

十分な臨床経験のない講師がカウンセリングを教えているという歪(いびつ)な構図。

ほとんどの学習者がこの構図の中で学習に行き詰っているのが実情と言えます。

対人援助は実際に様々な臨床場面を経験し、工夫を凝らしてきた経験値がなければ、具体的で緻密で確かな指導には繋がらないはずです。

でも、実際にはそうした経験もなく講師となってカウンセリングを教えている。

それは、 野球をしたことがない人が野球の教科書だけ読んで野球を教えているようなものです。

そういう指導を受けて、果たして実際鵜の臨床現場でしっかりとした対応につながるものでしょうか?

傾聴スキルの習得に必要な意外なこと

傾聴スキルの習得に必要なこととして、多くの皆さんが知らないことがあります。

カウンセラーになりたいという人たちが、現在も私のレッスンを受けています。

あるいは、カウンセラーにならなくても、カウンセリング技術をマスターし、自分の仕事や生活、人間関係に活かしたいという人も同様です。

つまり、自分の目的を果たすために必要なスキルを獲得したい。

そのスキル獲得のために学習やトレーニングを続けているわけです。

そうしたスキル習得ということでいうことで、今回は一つ、重要な話をしたいと思います。

その重要な話とは、スキル習得には、あることが必要になるという話。

スキルを習得するためには、単に技術やテクニックを覚える、出来るようにする。

そういう発想では、残念ながら習得はおろか、進歩も生まれないということです。

スキルの習得には、人間的な成長が必要になるんです。

傾聴スキルと人間的成長との関連

別な言い方をすると、スキルそのものを切り取ってマスターできるわけではない。

スキル習得にはいつも、人間性の向上がセットで必要になるということです。

では、ここでいう人間性の向上とは、何を指しているのでしょうか?

例えばそれは視野を広げること、思慮深くなること、理性的になること、判断力や決断力があがること、寛容になること。

忍耐強くなること、前向きになること、行動的になること、洞察力がつくこと。

ものの言い方が変わること、行動の仕方が変わること、物事の受け取り方が変わることなど・・・・

こうした「変化」が一番重要なんですね。

これを指して人間性の向上とか人間的な成長と私はいっています。

何も立派な人格の持ち主になれというのではありません。

そもそも、立派かどうかなんてどうでもいい話です。

なぜなら、いったいだれがあなたのことを「立派な人間だ」と決められるのですか?

誰かがあなたのことを「立派だ」「立派じゃない」なんて言っていたら、それこそ「大きなお世話」というものです。

私たちは誰かに「立派な人だ」と言ってもらうために、生きているわけではないですよね?

傾聴力の向上と人間力の向上はセットで起きる

話を戻します。

スキル習得が実現されるとき、そこには人間的な変化の要素が必ずセットで生まれます。

スキルを習得することで、より思慮深くなり、より寛容になり、洞察力が増し、より注意力、集中力があがる。

不用意にものを言っていた人が、言葉の選択に慎重になる。

衝動的に動きがちだった人が、より内省や観察をしてから動くようになる。

すぐ感情的(反応的)になっていた人が、より理性的を働かせるようになる。

こういう変化がスキル習得によって起こるともいえます。

また、逆にこういう変化・成長が先にきてスキルの習得が実現するという順番かもしれません。

いずれにしても、スキルの習得はスキルだけ切り取って自分に張り付けることではありません。

反射神経の機能が向上するわけですから、そこに付随する脳の機能、つまりは人間性にも影響が出るのが当然といえるでしょう。

多くのスキル習得者を見ていると、こうした側面の変化が見て取れます。

アスリートや棋士などの勝負師が、強くなればなるほど、その言動も落ち着きと聡明さが出てくるのを見ればわかります。

仕事の経験値を積み上げている人も、言うことが違うと感じたことはないですか?

スキルを習得するということは、必ずそういう変化がセットなんです。

傾聴スキルの習得では人間的な力をもつ指導者に学ぼう

そして、私の養成塾の個別レッスンやコーチング、そしてカウンセリングでも、スキル習得、問題解決の過程で、こうした人間的な変化・成長がみられます。

ですから、これから傾聴スキルを勉強したいという人や、既に学んでいる人も、スキルの習得とは自分自身の人間的な変化まで視野に入れて頂きたい。

傾聴スキルが向上するとは、それに必要な人間性の変化・成長がセットである。

傾聴スキルが向上すると、そこに理性、論理性、洞察力、判断力、反射神経の向上などがセットになって生まれる。

このことをぜひ頭に入れて取り組んで頂きたいのです。

傾聴には、様々な注意力、視野、洞察力、理性、論理性や合理性、反射神経が必要になります。

だから、傾聴スキルの獲得は、こうした要素の向上を意味します。

普段から注意深く、思慮深く、冷静で的確な判断ができるようにする。

そういう心がけは、傾聴スキルの習得には大いにプラスに働くはずです。

また、習得の過程では様々な試行錯誤を経験します。

努力してもなかなか習得を実感できないことが繰り返されるのが普通です。

それでも習得をあきらめずに試行錯誤を続ければ、嫌でも人間性は向上します。

ちなみに、私の師匠であった吉田哲は、こうした要素全てに優れていたし、飛びぬけてもいました。

普段は口数がとても少なく、一見、何を考えているかわからない。

しかし、全てを見通してそこにる。

そういう師匠の能力やあり方を少しでも盗みたい。

私はそういう一念で5年間、ひたすらトレーニングを続けていましたね。

【動画】傾聴できる人、できない人、その違いは?

最後に傾聴ができる人となかなかできない人は一体何が違うのかについて、短い動画でわかりやすく解説します。


これも多くのカウンセリングスクールや資格団体、大学などでは教えてもらえないお話ですので、ぜひご覧ください。

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心理カウンセラー・臨床カウンセラー養成塾 塾長 鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

台湾でも出版された「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」の著者で、心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。
コーチとしても様々な目標達成に携わる。
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