もくじ
カール・ロジャーズの来談者中心療法のカギはクライエントを信頼すること
カール・ロジャーズの来談者中心療法において、カウンセラーがどこまでクライエントを信頼しきれるか。
これがカウンセリングの成否を左右する重要な要素です。
今回はなぜクライエントを信頼できないとカウンセリングは失敗するのか。
そしてクライエントを信頼する力はどう養えるのかについて解説します。
【筆者プロフィール】
心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。コーチとしても様々な目標達成に携わる。
著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」は台湾でも出版された。
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なぜ私は来談者中心療法を選んだのか
私は数ある心理療法の中からカール・ロジャーズの来談者中心療法を選びました。
今から23年前のことでした。
来談者中心療法は他の心理療法と一線を画していると思ったからです、
どこが他の心理療法と違ったのか。
先ず、一つにはクライエントの立ち直る力を強く信頼するというところ。
他の心理療法が手法や効果を強調しているのと違いカウンセラーの姿勢にも重きを置いていたところです。
そう、カウンセラーのあり方について強く打ち出していたのです。
そしてカウンセラーのあり方こそセラピーの効果を左右するとまで言い切っていた。
私はそのことを知り、心を動かされました。
人格主義カウンセリング
そしてクライエントを一人の人間として限りなく尊重するという点も信じられた。
戦後の日本の臨床家の一人、遠藤勉氏は「人格主義カウンセリング」と言っていました。
クライエントの「人格」を尊重し、敬意をもってカウンセリングをすべしと・・・
私はこの姿勢、この捉え方が良いと思いました。
ただ、カウンセラーとしては、とても厳しいことが課されるなとも思いました。
そこは覚悟を決めましたね。
そして、結果的には一番力があり一番厳しい臨床家に師事することになりました。
でも、それも本当に良かった。
吉田哲先生に師事できたことは私にとって生涯幸運だったと思えるでしょう。
来談者中心療法の臨床家吉田哲との出逢い
吉田先生は妥協を一切許さない、厳密で徹底した指導でした。
そしてその厳しさを吉田先生は自分自身にも課していた。
だから弟子たちは吉田先生を尊敬してやまなかった。
今、こうして尊敬できる指導者はだんだんと少なくなっているように思います。
私はそういう意味でも幸運でした。
5年間師事して、本当にいろいろなことを学びました。
他では決して学べない数々のことを胸に刻むことができたと思っています。
ロジャーズの来談者中心療法に出逢えたこと。
そして吉田先生に出逢えたこと。
間違いなく私の人生を大きく変えてくれました。
出逢いは人生を豊かにしてくれますね。
クライエントへの信頼・尊重がカウンセリングの成否を左右する
カウンセリングが成功するか、それとも失敗するか。
その成否を分ける重要な要素の一つ。
それは、クライエントに対するカウンセラーの姿勢や捉え方です。
カウンセラーがクライエントに対して信頼や尊重をもてない時。
あるいはそれらが充分ではないとき。
カウンセリングは残念ながらうまくいかなくなります。
実は私も以前、カウンセリングで失敗したなと思う場面がありました。
ほんの一瞬ですが、クライエントへの信頼を欠いた応答をしてしまいました。
クライエントの反応で、私は即座に気づき、次の瞬間すぐに修正をすることができました。
もちろん、この場面ではクライエントには一切問題はありません。
私の側の問題でしたので、私自身が修正できればそしてそれをクライエントが受け容れてくれれば戻れる話でした。
しかし一瞬とは言え、私の中でクライエントに対する信頼が揺らいだこと。
そのような一言を口にしてしまったことは、大いにに反省すべきことでした。
と同時に、クライエントに対する信頼・尊重がいかに大切かを改めて再認識させられた場面でした。
なぜクライエントを信頼できないカウンセラーはカウンセリングを失敗するのか
ではなぜクライエントに対する信頼や尊重が充分でないとカウンセリングはうまくいかなくなるのでしょうか。
答えはこうです。
信頼できない、尊重できないという姿勢からはクライエントに対して否定的な態度が出てしまうからです。
安易なアドバイス、励まし、説明や説得、質問の連発などこれらはクライエントの中にある力を信じきれないことから出てくる態度です。
そしてこれらはクライエントにしてみれば「否定的な働きかけ」でしかありません。
こうした働きかけを受ければクライエントは自分が信頼されていない、尊重されていないと感じるでしょう。
つまりそこからは信頼関係が失われることを意味します。
カウンセラーとクライエントとの信頼関係あってこそのカウンセリング。
その信頼関係が失われれば、カウンセリングは失敗するだけです。
クライエントを信頼する力はトレーニングで
逆にクライエントの立ち直る力を心の底から信頼でき、クライエントの人格や存在を心から尊重できている。
それならば、アドバイスなどの否定的な働きかけは必要なくなります。
ただただ、傾聴や共感に専念することができます。
結果としてカウンセリングの成功率は上がるはずです。
クライエントが自分で気づき、自分で問題を整理し、自分で様々な選択や決断をして前に進んでいくことができる。
最初からクライエントを、そう捉えられていることがものすごく大事になってきます。
それこそ、一瞬たりともクライエントに対する信頼や尊重の気持ちは揺らいだり途切れることがあってはならないと思います。
常に自分がクライエントに対する信頼や尊重の中にいられること、これが本当に大事になってきます。
ではこうしたクライエントに対する信頼や尊重の姿勢はどのようにすれば確立できるのでしょうか。
これはもうトレーニングと経験値の積み重ね以外にはありません。
ひたすらトレーニングを積み、ひたすら経験を積んでいく。
それに付け加えるならば、そうした姿勢でカウンセリングができる指導者の指導を受けること。
こうした要素の積み重ねによって、クライエントに対する信頼・尊重の姿勢は着実に培われていくことでしょう。
クライエントに対して心からの敬意をもって接すること。
これだけは忘れてはならない大切なことだと思います
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