カウンセリングの応答技法に必要な能力は何か?
実は、多くの人がそもそも応答とは何かもわからず、間違った勉強やトレーニングをしています。
今回はカウンセリングスクール、資格団体、大学でも教えることのできない実際の臨床現場で必要なスキルについて解説します。
もくじ
応答技法の演習の実際
傾聴スキルセミナーや個別レッスンなどで、受講者には演習問題を解いてもらっています。
「臨床カウンセラー養成塾」で独自に使用している「ケース演習」です。
これは一言でいうと、逐語記録をそのまま問題にしただけですね。
そして、カウンセラーの応答の部分を空欄にし、そこの応答を受講者に作成してもらい、添削指導の形でレベルアップを図る演習です。
実はこの演習、続けてもらうとジワジワと応答能力がレベルアップしていくんです。
早い人は3題ほど演習すると、明らかに聞き方(読み方)や理解の仕方、応答が変っていきます。
ほとんどの人が5題ほど解くと、それまでにはない反射神経が育っていきます。
その過程で応答作成の感覚を掴むだけでなく、聞く精度が上がり、理解の質が深まり、事例毎の捉え方にも磨きがかかります。
自分の聞き方、理解の仕方の「クセ」まで自覚できるようになります。
なぜカウンセリングの応答には論理的思考も必須なのか
受講者の中には、話し方そのものまで変化していく人もいます。
ということは、この「ケース演習」を解くことで、受講者の思考そのものが変化していることになります。
話し方にはその人の思考のパターンが現れます。
思考がまとまらない人は、話し方もまとまらない傾向があります。
衝動的な思考をする人は、話し方(内容や流れ)も衝動的になりがちです。
逆に思考がいつも簡潔で論理的な人は、そのままの話し方になります。
わかりやすく簡潔で、内容が一貫して(論理的)います。
「ケース演習」で応答作成作業を続けていくことで、実はこうした簡潔明瞭さや論理的な思考も身についていくんです。
なぜなら、カウンセリングの応答こそ、簡潔明瞭で論理的でなければならないからです。
カウンセリングの応答は簡潔明瞭さが大事
簡潔明瞭な応答でないと、クライエントにはわかりにくくなり、
そこから必要な話の流れや洞察も起こりにくくなります。
論理の一貫性がないとカウンセリングの流れが混沌として、必要な進展につながりません。
だから、応答作成のスキル(反射神経)を磨くということは、こうした様々な恩恵を得られることにつながるのです。
手前みそになりますが、私のセミナーの講義を「わかりやすくて論理的」と言ってくれる人がいます。
もしそれが事実なら、それは私自身が応答作成能力その他をトレーニングと臨床経験で磨いてきたからかもしれません。
「ケース演習」への取り組みを続けている受講生の皆さんの今後がとても楽しみです。
高度な応答技法には瞬間的な判断力が必須
カウンセリングや傾聴の能力、つまり力量のあるカウンセラーは、パッと話を聞いたとき、パッとケース全体を俯瞰した時。
その時、瞬間的に浮かぶ仮説や視点の多さ、本質を押さえる速さ、深さなどが他の人たちとは違う次元となるのです。
先ず、クライエントの話を聞きていく中で、実力のあるカウンセラーは問題の本質を見つけるのが早いのです。
経験の浅いカウンセラーはそもそも問題の本質を見つけられない。
見つけたと思っても、それが本質とは違うものだったりするのです。
そのためにスーパーバイザー(指導者)の存在が必要で、バイザーのアドバイスにより、問題の本質が見えてしっかりと取り組めるようになります。
そして、経験を少し積んでいくと、今度は自分一人の力で問題の本質を掴めるようになります。
しかし、もっと経験を積んだ力のあるカウンセラーは、その把握のスピードが早いのです。
力のあるカウンセラーは複数の仮説(見立て・応答)が瞬時に浮かぶ
また、クライエントの話を聞きながら浮かぶ仮説や解釈の選択肢の多さというのもあります。
力のあるカウンセラーほど、クライエントの話に対する仮説や解釈が単一ではないということです。
もし単一であった場合、その仮説や解釈が間違っていたら、後で修正が出来ません。
しかし、複数の仮説や解釈がパッと浮かべば、常に複数の選択肢の検討をしながら聴き進めていけるので、間違う確率が低くなります。
この技術は師匠であった吉田哲から直接伝授されたもので、吉田の著書にも書かれていないものです。
多くの人たちは誰かの話を聞く際に、一つの解釈に飛びついてしまい、今度はその解釈(フィルター)を通してしか話を聞くことができなくなります。
しかし、力量がつくとその解釈も複数浮かぶので「どっちかな?」「どれかな?」という視点を失わずに話を聞き続けることになります。
その分、解釈を間違える確率は、当然低くなりますね。
さらに、仮説を常に立て、その仮説の検証(立証もしくは反証)作業を瞬時に(連続的に)やっているので、クライエントの言いたいことをより正確に聞くことができます。
こうして正確に聞き続けられるので、ケースそのものの見立ても的確になります。
ちなみに、ケースの見立てには知識と情報、そして経験値がものを言います。
知識・情報は誰でも比較的短期間に得られます。
しかし、クライエントに関する情報を正確に得るには、力が必要で、経験値に至ってはそれ相応の時間と適切な指導・トレーニングが必要です。
では複数の解釈や仮説について、具体例で解説してみましょう。
実践的な傾聴の反射神経の使い方の例
次の話を聞いたとします。
「昨日、友達と学校の先生の所に行きました。2人は学校の話で盛り上がりますが、私は(不登校だったから)つまらないんです」
さて、この話、先生の所には、友達何人で行ったと思いますか?
変な質問するなよな・・と思ったら、要注意ですよ。
前半で「友達と学校の先生の所に行きました」と言っていますね。
そして次に「2人は学校の話で盛り上がり」とあります。
この二人は友達二人ということでしょうか?
それとも「先生と友達」を指しているのでしょうか?
もし「先生と友達」だとすると、友達の人数は一人だったのでしょうか?
それとも「(道中で友達二人が)学校の話で盛り上がり」ということなのでしょうか?
はっきりいって、この語りの部分だけではわかりません。
これが複数の仮説・解釈であり、仮説の検証作業になります。
ところが、多くの人が「(道中、友達二人が)学校の話で盛り上がり」という単一の解釈に留まったのではないでしょうか?
一言半句正確に聞くという傾聴の鉄則はこれ
少数が「二人」というのを「先生と友達が」と解釈したかもしれませんが、両方の解釈(仮説)が同時に浮かんだ人は、さらに少ないはずです。
そしてもっというと「(道中、友達二人が)学校の話で盛り上がり」と言っていますが、ではそれ以外に友達はいないと100%言い切れるでしょうか?。
他にも友達がいて、そのうちの二人で盛り上がった話という可能性もなくはないのです。
話を正確に聞く(傾聴)というのは、こういう聞き方を指しています。
つまりこの語りは状況を把握するには言葉や説明(情報)が十分ではないものです。
聞き手であるカウンセラーはそのことに細心の注意をもちながら、その先の話にこの不足した要素が出てくるかどうかも気にしながら聞くところです。
これは情報収集の鉄則、基本中の基本なのですが、多くのカウンセリングスクールでは、こうしたことは一切教えられていないのが現状です。
カウンセリングの回を重ねても進展しない原因に、こうした「単一解釈に飛びつく反応」があることが少なくありません。
吉田はよく「すぐそうやって飛びつくな!」と戒めていました。
【動画】カール・R・ロジャースの来談者中心療法と応答技法
最後にカール・R・ロジャースの来談者中心療法と応答技法について短い動画にまとめてみました。
これも多くの人たちが間違え、誤解している点で、ここを理解しておくと学習の進み具合や実際のカウンセリングの成功率がグンと上がりますので、ご覧ください。
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