カウンセリングは言葉が命、言葉を尽くすことが重要

カウンセリングは言葉が命であり、言葉を尽くすことが大切です。

なぜなら、カウンセリングは言葉を介した意思の疎通によるセラピーです。

言葉を織りなし、生きた言葉、対話を重ねて立ち直りのプロセスを一緒に歩む経験でもあるから。

カウンセリングで言葉がどう影響を与えるのか、カウンセリングのやり取りやカウンセラーの応答などから考察します。

クライエントがその言葉を選ぶには理由がある

今週もいくつか塾生の逐語検討を行いました。

いずれも個別レッスンによるものです。

この逐語検討で毎回思うのは、やはり一言半句に至る厳密なチェックは欠かせないなということです。

それはクライエントの言葉にしても、カウンセラーの応答にしても同様です。

人が言葉を発するとき、その言葉や表現を選ぶには必ず理由や根拠がある。

逐語検討をしていると、そのことを如実に感じます。

話の内容もそうですし、話すタイミングもそうです。

そしてそこで選ばれる言葉や表現、そして間や沈黙。

そのどれ一つをとっても、意味のないものは一つもない。

意味がないどころか、全てに意味や意図があります。

ですから、カウンセラーはクライエントの話を聞くとき、その言葉や表現を一つ一つ全てしっかりと認識する。

その一つ一つがなぜ選ばれたのか、なぜ出てきたのか、どういう意味で使われているのか。

その理由や根拠を瞬時に理解することが求められます。

なぜなら、そうしないとクライエントの話の全体的理解もおぼつかないからです。

カウンセラーの応答も、その一言一句を厳密に選ぶことが重要

また、カウンセラーは自分が応答を発するとき、そこで選ぶ応答、その言葉や表現、文章、全体の組み立てを、きちんと根拠を以て行います。

つまり、自分が選んだ言葉や表現、そして応答そのものについて、それを選んだ根拠を全て明確に説明出来なければなりません。

私はセミナーやレッスンで時々、ロールプレイの聞き手を行うことがあります。

その際にはもちろん録音を録り、その録音を再生しながら自分の応答を一つ一つ解説します。

もっと厳密にいうと、自分の相槌についても全て説明が出来ます。

実際には瞬時に対応している動きですが、それを分解して細かく解説をするのです。

瞬間的な反応について、コマ送りのように、その反射神経の使い方を解説していきます。

こうした学習を続けることで、聞く力、共感的理解の能力、応答の力が磨かれていきます。

今年もこうした学習を続けてきました。

続ければ続けるほど、逐語検討学習の可能性を感じます。

傾聴トレーニングのロールプレイでも一言半句までチェックが必要

集合形式で実施する傾聴スキルセミナーでは、前半は私からの講義を行い、後半はロールプレイによる実践演習でした。

ロールプレイも通常通り、そのやり取りを録音し、細かく再生を繰り返して検討を行いました。

そして、ロールプレイでの応答を、実演者以外の参加者全員にも作成してもらい、それを私が添削させてもらいました。

やはりこうした具体的な素材(ロールプレイの録音記録)をもとに解説を行うと、インパクトがあるようですね。

京都や北海道などからわざわざ日帰りで参加してくれた方もいました。

そうした方は傾聴の勉強をしたくていろいろ探されたようですが、納得のいく学習の出来る所を見つけられなかったそうです。

講義とロールプレイ演習で学べたことがいろいろ腑に落ちたと仰っておられました。

だいたいいつも、ロールプレイは5分~15分。

時には最初の3分の部分、つまり聞き手が最初に応答するところの検討だけで、1時間近くかけました。

3分の会話に1時間かけて分析・検討を行うというのは、想像できないかもしれません。

しかし、厳密に行えばそのくらいの時間はかかってしまいます。

そうした厳密な検討を重ねていくことで、傾聴・共感・応答それぞれの反射神経が磨かれていくことになります。

傾聴セミナーで行う添削作業がカギ

逆にいえば、録音あるいは逐語といった具体的な記録と、その記録を活用した厳密な検討なしでは、それらの反射神経を磨くことはできません。

つまり、カウンセリングのスキル向上には、具体的な素材の厳密な検討が不可欠になります。

私の主催するセミナーやグループレッスンでそうしたトレーニングを実際に体験した方は、その大切さを身をもって確認されます。

参加者一人一人が応答を考えて作りました。

その応答を私が一人ずつ席を回って添削をし、解説をしました。

参加者の応答の一部を直すだけで、応答全体がまるで別物になったりします。

なぜそのように修正した方が良いのかも、参加者が納得いくまで解説します。

それから、この添削作業の時間では、興味深い場面が時々あります。

ロールプレイで話し手をした参加者にも応答を作ってもらいます。

つまり、自分が話した内容に自分で応答を作成するわけです。

ところが、自分の話への応答にもかかわらず、適切な応答にならないことが多いのです。

自分の言いたいことがちゃんと言えているわけではない

自分が話したことですから、話した本人が一番「何を伝えたいか」がわかっているはずだと思われるかもしれません。

しかし、実際に応答を作ってもらうと、私の「直し(添削)」が入るという、ちょっと興味深い場面になるんです。

そして、添削した応答を本人が確認すると、添削後の応答の方が自分の言いたい事にピッタリしている・・・となります。

つまり、本人自身も自分が何を言いたいのか、十分にはわかっていない時があるということです。

また、必ずしも言いたい事を正確に言葉にできていない場合もあるということです。

話し手自身が作成した応答を私が添削することによって「そう、その通りです」という反応が話し手から改めて起きる。

これこそまさに、カウンセリングのやり取りそのものでもあるんです。

カウンセリングはノンバーバルより、やはり言葉を通していかに意思疎通ができるかがカギ

コミュニケーションというのは、基本的には言葉を介して行われています。

ですから、選ばれる言葉、その一つひとつが意思疎通の度合いを決定づけていきます。

ノンバーバルコミュニケーションなど、言葉以外の要素が強調されることもあります。

しかし、私はそれ以前にまず、もっと言葉に注意を払う方が意思の疎通が大きく促進されると捉えています。

人は一つひとつの言葉にそれぞれの反応を起こします。

また、話す時に使う言葉に話し手自身の内面が正確に現れているものです。

そのことをほとんどの人が十分に理解ができていません。

カウンセリングはコミュニケーションの一つです。

そして、厳密な、緻密で繊細な言葉のやり取りです。

そんな関係性で交わされるコミュニケーションであり、意志の疎通なのですから、いろいろな意味で「言葉を尽くす」必要があると思います。

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心理カウンセラー・臨床カウンセラー養成塾 塾長 鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

台湾でも出版された「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」の著者で、心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。
コーチとしても様々な目標達成に携わる。
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著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」