カウンセリングマインドとカウンセラーの姿勢


「セラピーの成否を決めるのは、セラピストから醸し出されるもの」

私のカウンセリングの師匠であった吉田の言葉です。

カウンセリングは基本、1対1の対面形式です。

そして、カウンセラーとクライエントの対話を織りなす作業です。

吉田が説いていたのは、そこでカウンセラーから漂うもの、醸し出されるものがいかに重要なのかということでした。

つまり、目に見えない要素が極めて重要であり、影響も大きいということです。

このあたり、しっかりと解説していきたいと思います。

カウンセリングは言葉が邪魔になる場面もある

例えば、吉田の指導の場面で、こんな場面がありました。

あるカウンセラーが小学生相手のカウンセリングを行う際に、面接の冒頭で「緊張しなくて大丈夫、安心して」と語りかけました。

ところが、その録音を聴いていた吉田の表情が一瞬で曇ったのです。

その小学生は自主的に来談したわけではなく、親や先生に「言われて」来談した3年生の男の子でした。

学校で問題を起こし、家でも問題を起こし、それでカウンセリングを受けるように言われたのです。

つまり、本人の意志で来談したわけではありません。

しかも、問題を起こしての来談ですから、男児はとても緊張していたようです。

その様子を見ての冒頭のカウンセラーの言葉だったのですが・・・・

吉田はこの言葉がけに不満な様子でした。

そして、このケース(面接)の検討をひとしきりしたところで、吉田は重い口を開くように、こう言いました。

「だいたい、安心してなんて口で言ってるようではダメなんですよ」

カウンセラーの姿勢、カウンセリングマインドとは

吉田が言わんとしていることは、こうです。

クライエントに安心してもらうには、言葉でそう言うのではない。

カウンセラーの雰囲気、醸し出されるものによって、クライエント自身が自然にそう感じる。

これがあるべきあり方だと言うのです。

確かにそう指摘するだけあって、吉田の面接でのあり方は飛びぬけたものがありました。

反抗的だったり緊張からもの言わぬ中学生との面接。

吉田が一言、一言、言葉を投げかけるたびに、その抵抗感や緊張が見事に解けていくのです。

だんまりを決め込んでいた中学生が少しずつしゃべりだす。

固まっていた子どもが、最後にはしっかりと話すようになる。

いったい、どうしてこんな変化が一回の面接で起きるのか?

確かに吉田が投げかけるその一言一言の言葉も見事なものでした。

しかし、私は吉田の面接の録音を聴くたびに、言葉以上の要素を感じていました。

わかりやすくいえば雰囲気、吉田の言葉で言えば「醸し出されるもの」です。

これを別な言葉でいえば「カウンセリングマインド」なのかもしれません。

いえ、そのような言葉で表現しようとしても、それは無理があるのかもしれないくらい奥の深いものなのです。

カウンセラーから醸し出される雰囲気が重要

おそらく、吉田の正面に座ったクライエントからすると、正面に座っているからこそ伝わってくるものがあったはずです。

吉田は自分の著書に、ある高校中退者との面接の様子を記しています。

そこで、その青年が吉田とのカウンセリング体験を、後日母親にこう語ったそうです。

「カウンセラーは、自分が何を話そうと、何の指示も助言もしないのに、確かな人格をもった一人の人間がデンと座っているという感じで、何気ない一言、一言に、確かに人間を感じることが出来た。

それで安心できて、いろんなことが話せ、自分の考えや感覚の確かさや危うさを確認できた。ともかく、人間らしさが感じられたということが、とても嬉しかった。」

また、河合隼雄さんが、これも自身の著書で、ある青年とのカウンセリングについて記述していた。

その時の青年は、親に河合氏とのカウンセリングの感想を「どうだった?」と訊かれ、こう答えた。

「不思議な人だった。自分がどこへ飛んで行っても、いつも傍(はた)にちゃんといる人だった」

吉田にしても河合氏にしても、これはあきらかに「醸し出すもの」の成せる技でしょう。

言外に伝わるもの、感じさせるものがあったということです。

ちなみに、吉田や河合氏に限らず、実は私たちも醸し出しているものはあります。

あるのですが、問題はその中身、つまり「何がどう醸し出されているのか」です。

そしてここが難しいのですが、これは半ば「無意識に」醸し出されてしまうものです。

吉田はよく「伝わってしまうもの」という表現を使っていました。

これは私たちが好むと好まざるとにかかわらず、否応なく自分から醸し出されてしまうもののことです。

ですからコントロールできるものではないんです。

吉田は別の言葉で「隠しようもなく露(あら)わになる」とも言っていました。

ある意味、厄介ですね(^^;

これはカウンセラーがどんなに雄弁に、言葉巧みに取り繕っても、ごまかせないし、隠せないし、そのまま伝わってしまうということです。

クライエントからすれば、確実に感じ取れるものだといえるでしょう。

こう考えると、カウンセリングというものは、非常に難しいといえます。

隠しようもなく伝わってしまうもので、カウンセラーは勝負していくわけですから・・・・

では、どうすればセラピーにとってプラスになるものを、私たちは醸し出すことができるのでしょうか?

カウンセリングマインドと聞く姿勢

結論から先にいうと、小手先では無理です。

勉強していても身につきません。

一言で言えば「経験値」の問題です。

それも、何をどう経験し、何をどう蓄積してきたかの勝負です。

これは本当にごまかしがきかない、シビアな要素なのです。

そして、その判定ができるのは唯一、クライエントしかいないのです。

つまり、クライエントにとってカウンセラーとのカウンセリングがどのような経験となっていったのか。

カウンセラーから伝わってきたものが、クライエントの心にどう響き、クライエントの心をどう動かしていったのか?

こうした目に見えない作用がクライエントにどのような経験として受け止められていったのか。

これによってカウンセラーの醸し出されてしまうものの「意味」が決まってきます。

これはもう、本当に「経験値」としか言えません。

カウンセラーの心やその身体全体から染みついたものがにじみ出る。

そういうものがクライエントに伝わっていくという話ですからね。

日々、どういうカウンセリングをしてきているのか。

日々、どういう研鑽を積んできているのか。

そして日々、どんな生き方をしてきているのか。

こういう深い経験の積み重ねによって自然と練り上げられ、醸し出ていくものです。

だから臨床は知識がいくらあっても、それだけでは役に立たない世界です。

理論や手法でごまかすこともできない世界です。

世にある仕事の中で、ここまで「人間性」が影響する仕事も少ないでしょう。

吉田が醸し出したものは「確かな人格をもった一人の人間がデンと座っている感じ」でした。

河合氏は「どこへ飛んで行っても、いつも傍(はた)にちゃんといる人」でした。

そして大事なことは、クライエントが「そのように実感した」ということです。

こちら(カウンセラー)が何かを伝えようとしたという話ではありません。

クライエント自身がどう感じたかという話であり、クライエント自身の経験の世界の話だという事です。

カウンセリングというのは、こうした影響力によって成否が左右される。

そのために私たちは何をどう磨いていけば良いのか?

これがカウンセリング学習の中でも、非常に大事なテーマなんですね。

カウンセラーの健康的な感覚を働かせることが大事

心理の仕事をしている方々に、特に重要だといえること。

それは「常識的な感覚を働かせる」ということです。

なぜ改まってこんなことを書くかというと、心理の世界で仕事をしている人の多くが、そうではないからです。

つまり、多くの心理職従事者が、常識的な感覚が働かない、もしくは働かせないという場面に、これまで何度も遭遇してきたからです。

常識的なというのは、別の言葉でいえば「健康的な」となります。

私の師匠であった吉田の言い方でいえば「まともな感覚を働かせる」ということになります。

吉田は、私が師事しようと会いに行った際に、カウンセラーとしてこれからやっていく上での心構えを、こんな表現で私に伝えました。

「私の願いとしては、まともなものをやってもらいたいと思う」

つまり、まともにやっているカウンセラーがほとんどいないと言いたかったのです。

心理の世界で仕事している人間の多くが、こうした問題を抱えています。

自分の心の問題、精神的なバランス、パーソナリティーの健全さ。

こうしたことをきちんとクリアすることなく、心理の仕事に従事しています。

クライエントを傷つけるカウンセラー

例えば、ここまで読んで、あまり良い気分にならなかったり、反発を感じた人は要注意です。

また、教育分析を受けたくないという気持ちがある人も、同様です。

その場合、心に何らかの問題がある場合があります。

何かの情報に触れ、すぐに感情的な反応が起こる場合も、注意が必要です。

心理の仕事や援助職、カウンセリングをする場合は、こうした心の問題やパーソナリティーの歪みは、きちんとクリアしてから従事するべきです。

そうでないと、カウンセリングや援助の場面で、そうした問題が必ず新たな問題を生みます。

クライエントに感情的になったり、自分が精神的な不調を起こしたり等です。

常識的な感覚の有無は、瞬間的な反応として露わになります。

例えば、何かの集まりで自分の話ばかり延々として、他の人の話す時間を考慮しないとか。

言葉を選ばずにものを言ってしまい、周囲は驚いているのに、そのことに無自覚で改めようという考えも持てないとか。

カウンセラーなのに、人間関係でトラブルが多いとか。

SNS等で、自分の愚痴や不安を垂れ流す投稿をするとか。

心理の分野を仕事にしたり、相手に何らかの援助を行う立場ならば、このようなことは控えるべきです。

これは理屈ではなく、健康的な感覚が働けば自然と抑制されるような言動なのです。

今回、なぜこのようなことを書くかというと、こうした問題を抱えたカウンセラーに傷つけられたというクライエントが多くいるからです。

社会的信用を失っているスクールカウンセラー

子を持つ多くの親御さんからは、子供の学校のスクールカウンセラーは、とても変わった人で、相談する気にならない。

相談したら、わけのわからないアドバイスをもらって混乱した。

そういう声も、これまでたくさん聞いてきました。

防衛機制がある人はカウンセラーにはなれない

ですから、カウンセリングをする人間として健康的な感覚を磨いてほしいのです。

場を独占したり、非常識な物言いをするのではなく、周囲と自分の内面にしっかりとアンテナを張り、最低限、配慮ある言動や態度が取れるようになってほしいと思います。

自信のない方は、私のところでも教育分析を行ってますので、お問い合わせください。

現在もカウンセリングの仕事を将来したいと言う方々が、私のところで教育分析を続けています。

今の自分ではクライエントの方々に迷惑をかけるかもしれない。

だから、しっかりと自己分析を行い、フィードバックをもらいたい。

そう言って教育分析に通っているのです。

「防衛」が働かない人なら、教育分析を受けることには、大きな抵抗は起きないはずです。

心理の仕事をするには、知識や技術の前に、先ず何よりも常識的な(健康的な)感覚が働くようになってください。

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