カウンセリングや傾聴は、あいづち(相槌)でその成否が決まることがあります。
相槌というのが意外に奥が深く、緻密さを要求されるんです。
臨床の世界では、この相槌をチェックすれば聞き手の実力がわかると言われているほど重要でもあります。
つまり、聞く力をもった人間の相槌は、そうでない人間の相槌とは違うということです。
実際にどのように違うのかは、その聞き手の相槌を聴けばわかります。
その違いを文字で説明するのは難しいのですが、今日は説明いたします。
もくじ
そもそも相槌とは何か?
先ず、相槌とは何か?
これも臨床カウンセラー養成塾では定義されています。
相槌=相手のそこまでの話が了解(理解)できたという反応。
これが養成塾での「相槌」の定義です。
つまり、そこまでの話を聞き手が十分に理解できていないと、しっかりとした相槌にはならないということです。
だから、理解が不十分なら、不十分だという相槌(反応)になります。
聞き手が十分な理解がもてていないのに「理解できた」という相槌を選ぶと、話し手は「わかってもらえている」と思い、先に話を進めます。
この「ズレ」が、後々大きくなって、取り戻せなくなることが多いです。
わからないのなら、わからないという反応をする方が良いのです。
クライエントはカウンセラーの中途半端な(煮え切らない)相槌によって、カウンセラーが今一つ理解できていない、了解できていないことに気づきます。
そのため、クライエントはもう一度説明し直してくれたり、別な言葉や表現、伝え方で説明し直してくれます。
だから、カウンセラーはいつもわかったという反応をせず、わからない時はわからない反応を率直に表明しましょう。
そのわからないというニュアンスがクライエントに伝わることは、双方にとって意味があることなのです。
カウンセラーはここでも「自己一致」が求められます。
相槌でカウンセラーの実力がわかる
そして、この相槌には、聞き手の理解度や理解の仕方が反映されてきます。
十分に理解できたという相槌、理解はできたが積極的な反応ができないという相槌。
それぞれに相槌の仕方が違ってくるはずです。
それから、一口に相槌といってもいろいろあります。
「はい」「ええ」「うん」「ほお」「うーん」「ああ」「はいはい」
それぞれにニュアンスが違ってきます。
また同じ「はい」でも、反応するタイミング、強弱、高低、長短、明瞭さ等によって、やはりニュアンスは微妙に違ってくるはずです。
それから、そもそもあいづちをどの程度の頻度で入れるのか。
それにうなづきをどうやって伴うのか、伴わないのか。
こうして考えると言葉以外にカウンセラーの反応は多岐にわたり、クライエントの話の流れに大きな影響を、その都度与えていることがわかります。
だから、力のあるカウンセラーは相槌だけで面接を深めることができます。
相槌ひとつが話の流れを微妙に変えることになるからです。
それくらいこの相槌というのは、カウンセリングでは大きな要素になるのです。
そして、相槌のある意味怖いところは、聞き手の理解度が隠しようもなく伝わってしまうところです。
つまり、わかってもいないのにわかったふりをしていたりすると、それは相槌一つにも露わになってしまうということです。
この相槌や応答に対する自信のなさに真摯に向き合えない場合、カウンセラーは多弁になります。
様々な診断ツールや理論武装によって、面接を進めます。
これは師匠であった吉田がとても嫌悪していたやり方です(^^;
理論や診断ツールを否定するつもりはありません。
要はそうしたものも「どう活用するか」にかかっているわけですから。
ただ、理論や診断ツールの前に、先ずは傾聴の基本原則を理解し、徹底してその基礎を磨いてみてください。
クライエントとの信頼関係やわかち合いを豊かに経験できます。
この豊かさこそ、クライエントに癒しと勇気をもたらします。
また、私たちカウンセラーも深い学びを得ます。
相槌とは打つものではなく、出てくるもの?
大切なのでもう一度繰り返します。
相槌とは、相手のそこまでの話が了解(理解)できたという「反応」です。
ということは、理解がしっかりと出来れば、自然と出てくるものです。
そうなると相槌は打つものではなく「出てくるもの」「反応」となります。
聞き手の力があがれば、相槌は無理に(意図的に)「打つ」というより、自然に「出てくる」という感じになってきます。
ここまで自然な相槌ができるということは、それだけ自然な理解が出来ているということ。
そうなるためには「相手が一番言いたいことは何か」に集中するだけなのです。
長い話の聞き方の秘訣は相槌
例えば、クライエントの方が話されるボリュームがとても多い場面があります。
特に初回の面接では、話が長くなる傾向がありますね。
なぜかというと、カウンセラーにこれまでのいきさつや自分が置かれた状況、心情などをなるべく正確に知ってもらいたいからです。
自分がどんなことで困っていて、何に対して不安があって、その不安がどれほど大きいのか、どれほど傷ついているのか。
そうしたことをクライエントはできるだけわかってほしいので、詳細に説明や訴えをしてくれるわけです。
ただ、聞く側であるカウンセラーには、一つ、難しさが出てきます。
それは何かというと「応答ができない」ということです。
クライエントが話している間、カウンセラーは当然、言葉は挟めません。
基本的にクライエントの話を遮ることはNGです。
なぜなら、クライエントの話は全て最後まで聞いて始めてその内容、言いたかったことが理解できるからです。
そのため、カウンセラーはクライエントの話を聴いている間に出来ることは、うなずきやあいづちによって応じるくらいになります。
まとまった言葉を返すことが出来ないわけです。
カウンセラーにしてみたら、これではただ聞いているだけで何もできない。
そう不安になる人もいるかもしれませんね。
しかし、それは大きな間違いです。
実は、うなづきやあいづちというのは、皆さんが思っている以上に面接の流れに大きな影響を与えます。
ということは、うなづきやあいづちによって、面接の流れを深めることも出来るということです。
相槌だけでカウンセリングは深まり、その成否が決まる
あいづちというのは、一つひとつ全部違います。
少なくとも私はそうですし、そうしています。
それこそ、あいづちの違いによってクライエントの気づき、自己洞察、様々な整理が生まれます。
同じ「はい」や「うん」「ええ」でも、その時その時でニュアンスはみな違います。
「うん」であっても、肯定的なものもあれば否定的なものもあります。
納得のうん、「それからどうした?」という促しのうん、戸惑いのうん、困ったねのうん、なろほどのうん、励ましのうん、ピンときましたのうん・・・
そこまでのクライエントの話や話の流れによって、カウンセラーの反応は当然違ってきます。
その短い反応でも、クライエントは逃さずしっかりと受け取っています。
だからこそ、カウンセラーの種々のあいづちがクライエントの内的変化をも起こすのです。
私がよく
「うなづきやあいづち一つでも、どうしてそのようなうなづきやあいづちになったか、根拠を示せる必要がある」
とお伝えするのは、こうした理由からです。
ですから、あいづちの打ち方一つで面接の流れは変わりますから、カウンセラーがあいづちしか打っていない面接でも深まっていくのです。
別な言い方をすると、力のあるカウンセラーは、それこそあいづちだけでカウンセリングの成果を生み出せるといえるのです。
だから、そのあいづちを聞けば、私はカウンセラーの実力がわかります。
ここの部分は一切のごまかしが通用しない世界なのです。
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