カウンセリングの効果とその意味とは

カウンセリングの効果とは何か?カウンセリングの意味とは?

カウンセリングがクライエントの立ち直りのほんの一部でしかないのに、その役割は大きいのです。

実際の事例をもとに解説します。

カウンセリングは無意味?効果ない?

カウンセリングは万能ではありません。

当然、人間のやることですから限界があります。

例えば統合失調症、内因性のうつ病や強迫性障害や双極性障害などは、カウンセリングでは直接的な治療には至りません。

そもそもこれら内因性の精神病は、現代の医学でも完治しない病気で、寛解が限界とされています。

基本的にはこうした精神病は薬物療法と心理(精神)療法とを併用するのが治療の基本。

適切な薬物の処方によって症状を軽減させ、カウンセリングで精神状態を安定させます。

その他は、福祉的な観点から生活環境や生活の仕方を見直して、整えていきます。

こうした病気には、このような複数の援助が必要です。

決してカウンセリングだけで何とかなるものではありません。

カウンセリング効果がある心の病とは

また、一過性(外因性・心因性)の精神病、つまりストレスを原因とするうつ病や強迫性障害、不安障害なども、症状の度合いによっては薬物療法と心理(精神)療法を併用します。

しかし、これら心因性の病は完治が可能です。

そして、カウンセリングの役割がより大きなものになり、薬だけでは良くならないケースも少なくありません。

それは原因が心因性のストレスだからです。

ですから、どんなストレスで、なぜストレスになったのかを理解し、捉え方が変わり、クライエント自身のパーソナリティーが変容(成長)すれば、改善していきます。

そういう意味ではカウンセリングの効果は、時には非常に大きなものとなります。

対話を通した心の交流がもたらす力は、この場合は薬物に比しても、決して小さくは無いということです。

心の交流によって得た実感が、人に立ち直る力を与えていくからです。

では、薬以外の治療ということでみた時、カウンセリングだけが有効なのでしょうか?

カウンセリングだけで立ち直れない?

実はカウンセリングだけで人が立ち直っていくということは、あまり無いんです。

カウンセリングはその一助にはなり得るけれど、それ以外の経験がその人に大きな影響を与えていきます。

クライエントはカウンセリングに通っている最中にも、日常生活でいろいろな出来事を経験をします。

その出来事の一つひとつがクライエントにいろいろなことを考えさせ、そのたびに様々な感情が湧き、紆余曲折を経験します。

その積み重ねとカウンセリング経験とが相まって、人間的な成長が起こります。

その人間的な成長がクライエントを助けてくれます。

そしてその人間的な成長はカウンセリングだけで起こるものではないんです。

その人の日々の暮らしの中にカウンセリングというものが混ざり、その相乗効果で成長が起こり、人は立ち直っていくのです。

【事例】カウンセリングが役立つのはたったの5%

例えば、職場の人間関係で悩んでカウンセリングに来たLさん(40代女性)の場合。

自分が人からどう思われているかばかり気になって、仕事に集中できません。

そのため、仕事のミスが多く、そのたびに周囲とギクシャクし、Lさんはすっかり自信を無くしてカウンセリングを始めました。

そんなある日、Lさんはいつもと違う様子でカウンセリングに臨みました。

隣の部署で交流のあった先輩社員の方が、ご病気で亡くなられたというのです。

その先輩は、事あるごとにLさんに「大丈夫?」「自分のペースでいいのよ」と声をかけてくれていたそうです。

病気が進行して辛くなっていたはずなのに、その先輩は最後までLさんに優しいまなざしを向け続けてくれたそうです。

Lさんは先輩が亡くなられたことを知り、大きなショックを受け、カウンセリングでその思いを語りました。

思い出されるのはやさしいまなざしで声をかけてくれた先輩の姿。

Lさんはその時、自分は一体今まで、なんて小さなことに悩んでいたのか。

どうしてもっと、先輩のやさしい投げかけに応えようとしてこなかったのかと、ただただ悔やんだそうです。

そうした思いと共に、Lさんは仕事に対する姿勢を改め、人からどう思われるかを気にするより、仕事をどうしたら改善できるかだけに注意や意識、思考の全てを集中するようになりました。

もちろん、Lさんはこの間、ずっとカウンセリングを続けていました。

カウンセリング経験があったからこそ、先輩から学ぶという姿勢を深めたともいえるでしょう。

また、そうした経験を通して気づいたことを自分の言葉で十分に語ることによって、自分が何をなすべきかの答えにたどり着きました。

カウンセリングに加えて先輩を失うという経験から万だことも、Lさんの力に変ろうとしていることは間違いのないことです。

いろいろなケースを観ていると、時々、この人にはカウンセリングが一体何の役に立ったのだろうと考える時があります。

しかし、冷静に捉え直してみると、僅かにカウンセリングの存在が効いているということが見えてきます。

カウンセリングの影響なんて、ある意味、5%くらいです。

残りの95%はクライエントの努力であり、生活であり、経験です。

しかし、実はその5%が大きいともいえます。

たかが5%、されど5%。

この5%が無かったら残りの95%が100%にならないのも事実です。

カウンセリングとは、別な言い方をすれば「出逢い」です。

カウンセラーとクライエントという立場の人間同士がお互いに出逢う。

その出逢いを通して互いが学び、成長していく。

カウンセリングの本質とは、出逢いと成長の場なのだと思うことがよくあります。

カウンセリングはたったの5%。

でも、私たちカウンセラーはその5%に全力を尽くす仕事なのです。

5%に全力を尽くすことの自分なりの意味を、ぜひ確立していって頂きたいと思います。

なぜカウンセリングで立ち直れるのか?その効果と意味

カウンセリングでなぜ、人は立ち直れるのか?

このメカニズムをきちんと理解している人は、案外少ないようです。

カタルシス効果?受け止められるから?癒される?

これらはどれも立ち直る一過程であり、効果の一側面でしかありません。

なぜ、人はカウンセリングによって立ち直れるのか?

それは人間的成長を遂げる経験になるからです。

そう、カウンセリングを受け続けると、クライエントの人間的な成長につながります。

だから困難を乗り越えたり、立ち直ったりできるわけです。

この場合の人間的な成長というのは、例えばよりたくましくなったり、より理性的になったり、より粘り強くなったり、より積極的になったり・・・

以前よりもこうした変化・成長をしていくから、立ち直ることができるのです。

では、カウンセリングを受けると、なぜそのような人間的な成長が起こるのでしょう?

カウンセラーの応答が効果の一つ

それは、クライエント自身がその時の自分自身を正確に観られるようになるからです。

自分の長所や持ち味、短所や欠点などを「正確に」捉え直すことができるからです。

だから、足りないところは足していき、過ぎるところは手放していく。

つまり問題解決や成長にとって「必要なこと」を必要なだけやれるようになるから。

だから問題は解決し、人間的な成長まで遂げることになるのです。

そこで肝心なのは、どうしたらクライエント自身がその時の自分自身を正確に観られるようになるのか?

なぜ自分の長所や持ち味、短所や欠点などを正確に捉え直すことができるのかということです。

そのカギを握るのが、カウンセラーが放つ「応答」なのです。

カウンセラーの応答によって、クライエントは成長し、問題を解決していけるのです。

では、どんな応答がそのようなことにつながるのでしょうか?

答えはこうです。

クライエントの伝えようとしていることを正確に再現する応答だからです。

クライエントの言わんとしていること、思い、経験の世界などをできるかぎり正確に、精密に再現できている応答です。

そういう応答をクライエントが受け取ることによって、クライエントの人間的な成長が起きるわけです。

しかし、この説明だけでは、少しわからないかもしれません。

もう少し説明しますね。

カウンセリングの応答訓練の重要性

クライエントは自分が経験したこと、その時々の思い、感情、感覚などを様々な言葉や表現をつなぎ合わせて伝えようとします。

そうして伝えようとしたことをカウンセラーが正確に聞き、しっかりと理解できると、今度はその理解をカウンセラー自身の言葉に咀嚼して投げ返します。

こうして応答になったクライエントの言葉は、より簡潔に、よりクリアに、より鮮明に、そしてよりリアルなものとしてクライエントに響きます。

そういう応答にクライエントがふれると、自分の伝えたことではあるが、伝えようとした時よりもさらにしっかりと状況などを認識し、理解します。

つまり、自分が伝えたことがカウンセラーのクリアな(よりまとまった)応答として返ってくる。

その応答にふれることで、自分が伝えたことを再確認する。

すると、そこに自分の捉え方のクセや問題に陥る時の傾向など、重要なエッセンスを見つけることになるのです。

その過程を繰り返し経験していくうちに、今度は自分という人間を、自分のパーソナリティーに対しての理解を新たにするのです。

「自分はなぜここまで落ち込んでいるのだろう?」

「どうしてもっと早くこのことに気づかなかったのだろう?」

「ああ、悔しかったけど、ここまで悔しく思っていたのだ・・・」

カウンセラーの応答にふれることで、こんな気づきや発見に至ります。

別な表現をすると、クライエントはカウンセラーの洗練された応答によって、自分自身の「真実」に気づかされるのです。

そうやってクライエントの視野が広がり、より冷静に、客観的に自己を省みる。

その結果、自分の捉え方を改めたり、新たに意を決したりしていく。

だからクライエントが人間的に成長していくことになるのです。

カウンセラーの応答とは、かくも重要な役割と意味を有しています。

カウンセリングによってクライエントが立ち直っていくのは、そうした洗練されたカウンセラーの応答にふれるからなのです。

私がカウンセリングの個別レッスンや傾聴セミナーで応答の徹底的なブラッシュアップ取り組む理由が、ここにあるのです。

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心理カウンセラー・臨床カウンセラー養成塾 塾長 鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

台湾でも出版された「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」の著者で、心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。
コーチとしても様々な目標達成に携わる。
 詳しいプロフィールはこちら

著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」