コミュニケーションの秘訣、傾聴力アップの方法は、正しい学習やトレーニングを続けることです。
ところが多くの人たちが間違った学習法を続けていたり、学習そのものが続けられず、次々と新しいものに手を出して失敗しています。
今回はコミュニケーションのカギを握る傾聴力アップの正しい勉強法について解説します。
もくじ
傾聴力の習得法
カウンセリングに限った話では無いのですが、私たちは言葉を通して意思の疎通を行っています。
言葉を頼りにお互いのコミニケーションを図っているということです。
つまり、言葉が頼り、言葉が重要、言葉を手がかりに…ということになります。
ですから、意思の疎通を図る場合には相手の言葉を絶対的なよりどころとするというのが大きなポイントになります。
カウンセリングで言えば、私の師匠曰く「クライエントの言動を絶対視すること」と言う表現になります。
そこから一言半句漏らさず違わず正確に聞くこと、これが傾聴であるといえるわけです。
傾聴やカウンセリングで多くの人がつまずくのがこの言葉の部分です。
相手の言葉をどう聞き、どう解釈すれば良いのか?
その言葉を受けて、聞き手はどのような言葉で応じれば良いのか?
場合によっては、これが皆目わからないという壁にぶつかる人も少なくありません。
つまり傾聴やカウンセリングの学習で絶対に避けて通れないものは言葉をどう受け取るかであり、どんな言葉を投げ返すかということになります。
ところが日本のカウンセリング学習はおしなべてこの部分が非常に貧弱です。
言葉を重視しているというには、あまりにも浅く大雑把で学習者が壁にぶつかるのはそのためです。
そしてどうなるかというと、さらなる新しい理論や手法に逃げ道を作ることになるのです。
新しい理論や手法を学び、自分のものとすることを否定しているのではないのです。
「言葉を最重視する学習と対応」を学ばずして、新しい理論や手法に飛びついてもそこに答えはないということが言いたいのです。
そのため、養成塾では一つの応答の解析や検討に1時間以上かけます。
15分の会話のやりとりに2~3時間の時間をかけて解析を行ったりするわけです。
1回50分の面接になると、正直、じっくり検討するには、ケースによっては丸一日以上の時間が必要になります。
コミュニケーション力を高めるチェック法
しかしそれは何も驚くべきことではありません。
一つ一つの言葉をしっかりと精査していくという作業を行えば、そのぐらいの時間はどうしてもかかってしまうということなのです。
しかしながら、そうした学習を粘り強く繰り返す。
継続して積み重ねていくことによって、着実な実力の向上が見えてきます。
現に、私のところで逐語検討を続けている塾生は、目に見えた実力の向上を経験しているのです。
自分のやり取りの逐語を検討する人としない人。
この違いは皮肉なほど顕著です。
正直、養成塾のセミナーをいくら受けても、自分の記録に向き合わないと進歩はありません。
傾聴や共感について、理論や考え方、そしてあり方。
こうしたことを「知識として知っておきたい」ということなら話は別です。
養成塾のセミナーだけでも、その目的は果たせるかもしれません。
しかし、実際に自分自身のスキルの向上を望むのであれば、限界があります。
やはり、自らの会話のやり取りを記録化し、その記録の検討を出発点とする。
この学習があれば向上は目に見えてくるし、上達の実感も確かに感じられます。
カウンセリングや傾聴に限らず、仕事でもスポーツでも同じです。
ただいろいろな本を読んでも、実際に得たものを実践する。
そこの試行錯誤を粘り強く繰り返すことがなければ、結果も出ないし上達もない。
これはあらゆることの習得でいえることだと思います。
先日の傾聴レッスンでも、実際に逐語検討に取り組んでいる受講者はロールプレイ一つとっても、上達していました。
聞く姿勢も違うし、反応するポイントも違うし、反応の仕方も違う。
それぞれに変化と成長の跡がはっきりと見えます。
私自身、聞く力の基礎を確立できたのは、師匠のところで学んで5年が過ぎた頃でした。
しかし、養成塾の塾生の皆さんは、もっと短い月日でその実感を得られます。
私が試行錯誤して獲得したものを体系化したプログラムにしたからです。
師の吉田から学んだものを、より分かりやすく論理的に構成し直したからです。
これまでに臨床心理士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントを始め、いろいろな有資格者が学びに来られました。
しかし、どんな資格を持っているかいないかは、何も関係ありませんでした。
どのくらいカウンセラーとして年数やキャリアがあるかも、関係ありませんでした。
ただ、聞く力を持っているかどうか。
あるいはその力を獲得したいという意志をしっかり持ち続けているかどうか。
重要なのはそこだけでした。
1000回、1万回の面接経験があっても、正確に聞けないプロが山のようにいます。
しかし、100回逐語検討を徹底すれば、正確に聞く力が備わります。
数だけこなしても、必要な力が備わらなければ何も変わりません。
しかし、必要な力が備われば、自分より経験豊富な人間よりもしっかりとした対応が出来ます。
傾聴やカウンセリングはそういう可能性のある世界です。
ぜひ、自分が信じられる学習を粘り強く続けてください。
傾聴力がアップしたTさんの勉強法
先日、個別レッスンに通っている男性(Tさん)が、逐語を持参していらっしゃいました。
毎回、他の学習機関で行った自分のロープレを録音し、逐語も作成してくるのです。
しかも、そのロープレに関する指導者やオブザーバーとの振り返りのやり取りも録音し、逐語にしてきます。
それらを聞き返し、一緒に検討していくというのが、Tさんとの毎回のレッスン内容になっています。
つい先日も同様の作業を一緒にしました。
すると、その逐語の検討により、Tさんの聞き方に大きな上達が見えました。
落ち着いて聞く姿勢、不要に動かない聞き方、適切な応答の仕方など、明らかなレベルアップが伺えました。
もちろん、これまでにもTさんのレベルアップは顕著に見られました。
ですから、今回もまた一つのレベルアップが観られたということになります。
しかし、今回のレベルアップは一味違いました。
なぜかというと、他の塾生の多くがたどり着けない領域に向かい始めたその兆しが僅かに見えてきているからです。
他にも上達が顕著に見えた塾生は何人もいました。
しかし、このレベルまでとなると、残念ながら数はグッと減るのです。
ではこうしたレベルアップを重ねていける人間とそうでない人間、その違いはいったいどこにあるのか?
傾聴スキルの向上のカギは正しい勉強法の継続
答えは簡単で、正しいやり方を正しく続けているか、そうでないかです。
もっというと「続けているか、止めてしまうか」だけの違いといってもいいでしょう。
私は師匠に師事した当時、石にかじりついても続けようと思いました。
なぜなら、どうしても「聞けるようになりたい」と思ったからで、それ以外の理由が私には必要ありませんでした。
結局、私は師事し続けたのですが、当の師匠が他界してしまったので続けらなくなりましたが・・・
でも、師事し続ける中で学んだことは最大限に生かそうと思い、自分の中での試行錯誤は現在も続けています。
そのお陰で新たに得られたり磨くことができたことも多いのです。
ですからここでも言えることは、上達は努力を続ける先に必ずあるということです。
先日メルマガでもご紹介した看護師のNさんも、新たな事例の逐語の検討を続けようとしています。
また、ZOOMによるレッスンを継続中の女性は、自分なりの試行錯誤を続け、私のアドバイスを取り入れてさらにその取り組みに磨きをかけようとしています。
いずれの方も「続ける」ということでレベルアップを実現しているのです。
コミュニケーション・傾聴力アップと学習者の成長はセットで起こる
私はセミナーなどでよくお伝えするのですが、「自分が人間として成長した」という実感は、私たちにとって大きな喜びです。
「成長実感」というものは、私たちに大きな力を与えてくれます。
幸せになる最も確かな方法は「自分を人間的に成長させること」です。
傾聴やカウンセリングのレッスンなどで実感できるレベルアップも、この成長実感の一つといえます。
そして、そこに喜びがあるのは、それまで努力を続けてきたという感慨深さが生まれるからです。
喜びを手にするために様々な誘惑や怠惰な気持ちを断ち切ってきた。
そういう前向きな自己犠牲が報われたという想いも生まれるからです。
レベルアップの秘訣はいたって簡単でシンプルです。
正しい事を正しいやり方で続けるだけ。
他に余計なことを考える必要はありません。
もし、結果が出ないのであれば、それはやっていることが正しくないか、やり方が正しくないか、必要な量をこなせていないかのいずれかか、全部です。
正しいことを正しくやって、しかもひたすら続けていけば、必ずレベルアップした実感が得られます。
逆にいえば、レベルアップしたという実感が得られるまで続ければいいだけかもしれません。
もちろん、一時的な中断やお休みをされた方もいますが、それでも続ければ続けただけのことが得られるのが、こうした取り組み努力です。
今は何でもすぐに手に入る時代で、自分の思い通りになることが増えました。
その分、思い通りにならないことにきちんと向き合う人が減りましたね。
しかし、この「思い通りにならないこと」の中にこそ、自分が成長できるヒントが埋もれているものです。
上達やレベルアップというのは、なかなかすぐには実現しません。
結果が出る前に、先に努力という「お代」を先払いしなければなりません。
その先払いの期間が長ければ長いほど、つまり時間がかかればかかるほど、結果が出るのか不安になってくるのは仕方ありません。
でも、やはり先払いを続けることで後から得られるものもあります。
ただし、正しいやり方を正しく行うことが条件。
正しい訓練を正しいやり方で続ければ、先払いが踏み倒されることはないでしょう。
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こういう話は、おそらく他では知り得ないと思います。
本当の意味で、現場で使える傾聴を身につけたい、そのために必要なことを知っておきたいという方。
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