傾聴やカウンセリングの勉強で大切なのは「上達すること」であり「具体的にどう動けるか」という実力です。
ところが、多くの学習者が上達もしていないし、具体的に何も動けない。
結果として学べば学ぶほど迷路にはまっているのが現状です。
なぜそうなるのかというと、これはもう「勉強法が間違っているから」に他なりません。
では本当に上達する勉強法について、わかりやすくまとめてみました。
もくじ
手っ取り早い上達法などないと知る
カウンセリングのスキルを上げるには「上達すること」が必須です。
しかし、上達するにはそれ相応の努力という犠牲が必要です。
私たちの日常生活、コンビニやamazonのおかげで、けっこう便利になりましたよね。
欲しいものが「すぐに」手に入り、「手軽に」いろいろなことが出来る。
忙しい日常生活では、ありがたいことだといえます。
しかし、この便利さ、手軽さを「上達」に持ち込むと、途端におかしなことになります。
手っ取り早く物事を習得したい。
即効性のあるものがいい。
「すぐに」「手軽に」「簡単に」という発想を、例えばカウンセリングの技術の習得に持ち込んだらどうでしょう?
カウンセリングで「聞ける」ようになるまで、私も、私の師も5~6年かかりました。
これを「そんなにかかるのか、やっていられない」と取るのか?
それとも「その位かかるのは当然だから、とにかくやってみよう」と取るのか?
どちらの捉え方でカウンセリング技術を突き詰めるのか。
それによってその後の進歩・向上は大きく違ってくるでしょう。
上達の法則とは?
「上達の法則」という本があります。
岡本浩一という社会心理学者の著書ですが、内容は秀逸です。
この本の中に、とても興味深い記述があるので、ご紹介します。
技術習得前には、いろいろなものが無意味なものとして認知され、
目にもとまならなければ記憶にも残らない状態である。技能を習得する過程で、それまで無意味処理されてしまっていた刺激が
有意味処理されるようになり、意味のある単位で認識されるようになる。
この記述は物事の上達、それに必要な技術の習得について、一般的な過程を述べたものです。
これはまさにカウンセリングの技術習得にも当てはまる内容です。
養成塾では「傾聴トレーニング」や「事例検討」を行います。
その時に、まさにこの現象が見られるのです。
つまり、同じ話(の録音や実演)を聞いているのに、人によって聞こえ方、意味の認知度、理解度が違ってくるのです。
はっきりいえば、訓練を積んだ人間には認識できる要素がそうでない人間には、それこそ何度聞いても認識できないのです。
「聞ける」感覚を獲得した人間には、クライエントの話の中で、重要な部分はどこか?意味するところは何か?がわかります。
クライエントが一番言いたかったこと、訴えたかったこと。
それらがなんであるかが「瞬時に」パッと見えてくるのです。
ところが、「聞ける」感覚を獲得できない段階では、録音を何度聞いても、それがわかりません(聞けません)。
話の内容や枝葉に囚われてしまい、一番重要なもの、全体像などが認識できない。
逆に全体に目を向けると途端に焦点がぼやけてしまい、一つひとつの言葉や表現の微妙な意味への理解が疎かになってしまう。
この状態を行ったり来たりして、なかなか的を射た理解ができないのです。
実は、上達には人間的な成長、人間力の向上が必要
そしてこの習得にはそれだけ時間も手間もかかります。
そこに「手っ取り早さ」「手軽さ」の入り込む余地は、残念ながらありません。
しかし、この時間と手間の経験を積み重ねていくこと自体に、実は大きな利点が含まれているのです。
技術の習得に取り組むという忍耐と根気の要る経験。
この経験がカウンセラーに「深み」「思慮深さ」「洞察力」を与えてくれるからです。
聞けるようになるための間隔の習得。
これはやはり、簡単な道のりとはなりません。
だからこそ、そこでの苦労の経験は、取り組む人間に、人間としての「年輪」を刻んでくれます。
その苦労が多ければ多いほど、あきらめずに取り組めば取り組むほど、その年輪はよりキメ細かいしっかりとしたものになります。
キメ細かい年輪を有した大木は、とても強い。
ゆっくりと根を張り、ゆっくりと年輪を刻みます。
年輪と年輪の間が少ないほど、ゆっくりと成長したことになりますね。
そしてそうした年齢を有した大木は、ちょっとやそっとのことでは倒れません。
手っ取り早く、手軽に、簡単にという発想で来たカウンセラー。
労を惜しまず、確かな技術習得に励み続けたカウンセラー。
クライエントは目の前のカウンセラーを、それぞれどう感じるでしょうか?
そしてカウンセリングを介してなされるやり取りを通して、クライエントはどちらに何を感じるでしょうか?
技術習得に妥協を持ち込まなかった人間には、何ともいえない「安定感」や「深み」を感じます。
それは主張などしなくても、自然と醸し出されてくるものです。
そうやって醸し出されてくるものによって、セラピーの成否は決まってくる。
いえ、醸し出されてしまうものによって、カウンセリングが左右される。
そう言っても、決して言い過ぎではないと思うのです。
結論として、上達や取得には、必要な時間をかけましょう。
必要な手間暇をかけ、労を惜しまないことです。
努力という犠牲を払えば、それだけ上達という見返りは得られます。
そして何より重要なことは、その年輪がクライエントにはごまかしようもなく伝わっていくということです。
皆が知りたいのは現場で具体的にどうすればいいのか
カウンセリングの現場でも、そしてクレーム対応の現場でも、皆さんが知りたいのは「具体的にどうすればいいのか?」です。
ですからこうしたテーマの研修やセミナー等も「具体性」が必要になります。
こんな相談内容に対して、どう対応すればいいの?
こんなクライエントに対して、どうすればいいの?
そして、クライエントのこの話、この言い方、この言葉に、どう応じればいいの?
これがカウンセリングを学習する人が最終的に知りたいことです。
こんなクレームに対して、どう対応すればいいの?
こんなクレーマーに対して、どうすればいいの?
そして、お客様のこの話、この言い方、この言葉に、どう応じればいいの?
ここでも大事なのは「具体性」なんですね。
この「具体性」を学べる場が、確かな学習のできる場です。
カウンセリングを学ぶ際には、こうした具体性をしっかりと提供してくれる所が良いでしょう。
カウンセリングや心理学を学んでいる人で、迷路にはまる場合。
それは、この「具体性」からどんどん逸れていってしまう場合です。
心理系の本を次々と読むとか、いろいろな人のセミナーに出向くとか・・・・
肝心なことは、そんなにたくさんありません。
師匠の吉田は「肝心なことは、当たり前のことを当たり前に実践すること」と説いていました。
つまりは、目の前の相手とどう関わるのか、関われるのかです。
そこに専心し、そこから派生するものがあれば、心理学の知識や理論を更に学ぶ意味はあります。
でも、肝心の「具体性」から逸れて本やセミナーに答えを求めても、それは「学んでいる自分」という自己満足しか得られません。
傾聴・カウンセリングで一番必要な勉強はこれ
例えばですが、そうやって本をたくさん読んで、ロールプレイが上手くなりましたか?
カウンセリングの力がグッと伸びましたか?
自己満足に終わってはいないですか?
どこか不安が残ることはないですか?
大事なのでもう一度いいますね。
現場で最も必要とされるのは「具体性」であり、具体的な対応力です。
これを横に置いてまで必要な学習など、他にありません。
理論武装ではなく、具体性を後押しする理論学習をしてください。
決して理論に逃げて、勉強した気に浸ることのないようにしてください。
ここだけの話、私はカウンセリングの「技術」については、ほんの数冊しか読んでいません。
いえ、正確にいうと何十冊も読みました(これでも少ないですよね)けど、まともな本が数冊しかなかったんです。
師匠の本、ロジャーズの本、師匠の師匠の本、師匠が尊敬していた臨床家の本、河合隼雄氏の本です。
心理学や精神医学、そして社会科学系の本は、現場理解の補足として必要であれば、今でも新しいものを読みます。
でも、カウンセリングの「技術書」に限っては、現在も他に手を伸ばすことなく、上に書いた著者の本だけ繰り返して読んでいます。
そして、私が最も読んでいるもの、それは「逐語」です。
カウンセリングの現場対応力を磨く学習のコツは、手を広げることではなく掘り下げるところにあるのです。
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こういう話は、おそらく他では知り得ないと思います。
本当の意味で、現場で使える傾聴を身につけたい、そのために必要なことを知っておきたいという方。
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