傾聴ボランティアの目的と実践


実は、傾聴ボランティアを実践するためには、しっかりとした「枠組みへの理解」と、高い実践スキルが必要になります。

プロとしてやろうとは思わないけど、ボランティアなら・・・といった気持でやると、出口のない悩みや苦しみの中にはまります。

無料相談やボランティアだからこその難しさ、困難なケースを経験することになるからです。

しかし、ボランティア、無料支援というものの存在意義は、社会的に非常に重要で、大きな役割をも果たしていますので、以下に傾聴ボランティアの解説と実践方法について、わかりやすく解説します。 

実は傾聴ボランティアは難しい

傾聴は、ボランティアの方が難しいと知っていましたか?

傾聴をボランティアでされる方もいらっしゃいます。

しかし実は傾聴をボランティアで行うのはとても難しいのです。

プロ(お金を頂く)では難しいのでボランティアで・・・・・

そう考えているとしたら、それは間違いです。

場合によっては、お金を頂くよりボランティアの方がとても高い技量が求められるのをご存知でしたでしょうか?

ではなぜ、傾聴はボランティアの方が難しいのか?

一言でいうと「枠組み」が緩いためです。

心理面接、心理的なサポートの場合、「枠組み」を設けることが非常に重要になります。

この「枠組み」がボランティアでは緩いため、心理的なサポートを難しくしています。

様々ある中で一番大きな「枠組み」は有料か無料かの違いです。

心理援助では、やはりお金を払ってもらった方が、効果は高いです。

お金を払うことで、払う側も頂く側も、それ相応の意識が生まれます。

こうしたある種の契約関係があるからこそ、心理的な依存を防ぎ、一定の緊張感が保たれるので、立ち直りの可能性が高くなります。

ボランティアで無料でこれを行うことは、こうした可能性が低くなります。

お金を払わなくて良いということで、相談者の意識も低くなったり、元々意識の低い相談者が相談に訪れる可能性もあがります。

立ち直る気も覚悟もなく、ただ自分の話の相手をしろ。

無料だと、そういう人も中にはいるからです。

もちろん、全ての人が意識が低くなるわけではないですが、概してこの傾向はあるといっていいと思います。

また、お金を頂かないでやるということで、相談を受ける側(カウンセラー)の意識も低くなる傾向は否めません。

お金を頂くのだ、プロなのだという意識があるか無いかは、やはりカウンセリングの効果に影響を与えます。

この世界でやっていくという本気度や覚悟は、ボランティアの人とはどうしても違ってきます。

その他にカウンセリングで必要なのは時間の枠組みです。

きちんと最初から30分なり1時間なり、時間を決めて傾聴する。

そしてその時間はきっちり守る。

こうした枠組みが心理援助の効果を高めます。

時間が決められていない傾聴は、雑談や愚痴話に終始しやすいのです。

時間を最初から決めてやるからこそ、辛い話も思い切ってできたり、集中度合いが増すので話も取り組みも深まります。

また、カウンセリングをする場所も、相談室のようにきちんと限定する方が意識が高くなります。

ホテルのロビー、カフェ、通路のソファーなどでは、やはり雑談や愚痴話の域を出ないことが多くなります。

専用の場で、しかも同じ場に通ってもらう。

こうした環境の設定も心理援助効果を高めます。

いずれにしても、こうした枠組みが緩かったり無いケースが傾聴はボランティアの場面では散見されます。

だから、場合によっては傾聴ボランティアは難易度が高いのです。

ボランティアを始められる方、従事されている方は、こうした背景を十分に承知して頂ければと思います。 

傾聴ボランティアの目的と意義、役割

ボランティアで行う傾聴は非常に難しいということをお伝えしました。

しかし、ボランティアというフィールドで実践される傾聴には、 社会的に大切な役割や意義、目的があります。

まず、有償のものもありますが、ボランティアという形では支援者にお金が支払われないのが一般的です。

有償ボランティアであっても、支援者に支払われるお金はそれほどの額にはならないのも一般的です。

こうして経費がかからない形にすることで、無料で相談ができたり、無料で支援が受けられるというわけです。

この無料で相談できるところに社会的な大きな意義や役割があります。

まず、お金が払えない人たちの支援です。

子供が精神的に追い込まれた時に電話相談できる場。

無料であり、 しかも電話と言う形によって相談ができるため、子供達は相談がしやすいというメリットがあります。

最近は、 電話でもハードルが高い子供たちのために、 LINE を活用する機関も出てきました。

スマホを持つ子供たちが多いことを考えると、 LINE を窓口にすることで相談件数が増えているのも頷ける話です。

本当の意味で問題解決に取り組んだり、心理相談によって精神的な問題の解決を図るには、無料相談という形では、弱い部分も否めません。

しかし、そこまで行かない形のステップとして無料相談窓口が機能すれば、それは大きな役割を果たしていると言えるでしょう。

また、少ない割合ではありますが、無料相談によって本当の立ち直りを果たし、社会に復帰し、社会生活を送れるまでになる人がいることも事実です。

そういう意味では、有料相談のみでは支援することのできない人たちの支援が可能になるわけですから、傾聴ボランティアなどの無料支援は、 やはり必要になります。

子供達だけではなく、経済的な事情から有料窓口を活用できない人達に対する支援も可能になるからです。

また、面接という形以外の様々な教育的な、福祉的な 支援を、主に行政が行うことで支援できる人たちや、支援できる場面が増えることも事実です。

傾聴ボランティアはその支援形態から、様々な制約や限界もありますが、一方で支援できる場面を増やしたり、本格的な支援につなげる機能を果たしてもいるわけです。

だからこそ、 ボランティアゆえの難しさを考慮し、 相談に対応する方々には、しっかりとした教育訓練が望まれます。

傾聴ボランティアの資格と講座だけでは不十分

傾聴ボランティアについては様々な資格や講座が用意されています。

もちろん、 資格取得や講座を受講することによって得られる知識は大切なものです。

しかし、資格取得や講座の受講によって得た知識だけでは、 実際の現場では困難の連続を経験することになります。

残念ながら、 実際の臨床現場においては、資格取得で得た知識や講座受講によって得たスキルも、充分というには程遠いものがあると言わざるを得ません。

カウンセリングにおいても、生身の人間を相手にする現場、心理的な問題を抱え支援を求める人たちに対して、心理学の知識がいくら豊富にあったところで、具体的な支援を一つ一つ進めるには全く歯が立たないと言っても言い過ぎではありません。

そうして学んだ理論や知識、スキルも、 現場での実践経験を踏まえてこそ生きてくるものといえます。

カウンセリングで言えば、 クライエントはこちらの予期せぬ 言動や態度を見せるものです。

そうした場面で我々は咄嗟に何らかの対応をとらなければなりません。

いわば、臨床とは 「いざ」の連続です。

常に「いざ、どうする」を求められるのが、現場での対応だといえます。

ですから、 傾聴ボランティアにおいても必要なことは、現場での反射神経だということになります。

突然予期せぬ問題が起きた時に、相談員はどう判断し、 どう動けば良いのか?

予想もしなかったクライエントの態度に、カウンセラーはとっさにどんな反応をすれば良いのか?

複雑な家庭の問題や教室の問題に対し、 スクールカウンセラーはどこまで踏み込み、どのように全体をアセスメントして行けば良いのか?

スクールカウンセラーはボランティアとは言えませんが、相談者(生徒・保護者・教職員)が無料で相談できるという意味では 、傾聴ボランティアと同じ壁にぶつかることになります。

常に求められるのは現場での反射神経です。

そしてその反射神経を磨くためのトレーニングが必須だということにもなります。

形だけのスキルトレーニング、理論や知識偏重の学習だけでは、到底通用しないレベルを求められるということです。

資格を取れば仕事ができる。

講座を受講すればなんとかなる。

臨床心理や福祉の現場というものは、 そのような甘いものでは決してありません。

それなりの覚悟と責任、 そして実践で揉まれ、苦悩し、反射神経を磨くことで対応力をつけていく。

それだけの経験値を積む覚悟が求められる現場なんです。

傾聴ボランティアの実践のカギ

傾聴ボランティアを行う上で最も重要な鍵を握るのは、 ここまでお伝えした無料であることのメリット、 そしてデメリットを十分に押さえた上で支援を行うことです。

無料ということによる支援の限界を、そのケースごとに理解し、その上で無料だからこそ出来る踏み込んだ支援を、冷静で客観的な判断のもとに行うことです。

傾聴という場面を通しての支援でいえば、無料相談に特有の落とし穴に気をつけることでしょう。

どうしても愚痴や 世間話を駅を出なかったり、 延々と身近な人や社会への不満を語り続けたり、そうした場面をなるべく生み出さない面接の流れに努めることです。

その流れを生み出す鍵を握るのは、カウンセラーが発する言葉や態度一つ一つです。

つまり、カウンセラーの応答そのものが、面接の流れを決めるのです。

カウンセラーの応答一つで、 そのカウンセリングの成否が決まるといってもいいでしょう。

クライエントの話の中で、そのクライエントの立ち直りにつながる要素、クライアントのしっかりとした自己洞察に繋がる要素、クライエントがぶつかっている問題の根本解決につながる要素。

そうした要素を的確に捉え、適切な応答を投げ返していく。

基本的にはこうしたやり取りをしっかりと続けていくことです。

そのために一番必要な教育訓練、 もしくは検討作業を挙げるなら、本来は逐語検討になります。

しかし、行政機関では個人情報保護法などがあるため、録音をすることができません。

本来これは、相談のスキル向上や、より良い支援の検討には欠かせない作業なのですが・・・・

相談者とカウンセラーとの一言一句を記録に基づいてしっかりと振り返るからこそ、より確かな支援や対応のプランが立てられるからです。

ですからせめて、相談者や支援員、スクールカウンセラーなどは、優れたスーパーバイザー(指導者)に自分のケースを相談でき、指導(スーパービジョン)を仰げる体制があることが望ましいといえます。

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心理カウンセラー・臨床カウンセラー養成塾 塾長 鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

台湾でも出版された「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」の著者で、心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。
コーチとしても様々な目標達成に携わる。
 詳しいプロフィールはこちら

著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」