傾聴、共感、応答、それぞれのコツと効果


傾聴・共感・応答は、実践では一連のつながりや相互作用のある要素ですが、それぞれにコツや効果があります。

つまり、一つ一つを解説する上では分解することで、全体の流れ、瞬間的な対応に生かせます。

多くの人が迷路にはまる傾聴・共感・応答といったカウンセリング学習ですが、確かな上達につなげる方法を解説します。

逐語検討が最強の傾聴トレーニング

私が傾聴や応答のスキルを磨くために最も役立ったこと。

それは「逐語検討」と「逐語分析」です。

自分の逐語の検討は、師匠の吉田哲に5年間して頂きました。

師匠に提出した自分の面接の逐語の数は100は超えています。

一回の逐語を作成するのに最低8時間はかかりましたから、なかなか骨の折れる作業でした。

また分析は自分自身で行ったり、受講生の逐語を私が分析してきました。

こちらは8年間にわたって続けています。

こうした検討や分析の経験が、自分自身の傾聴、応答のスキルを押し上げてきました。

つまり、音声記録や文字記録をベースに細かい検討や分析を重ねれば、確実に傾聴・応答のスキルは向上するというわけです。

昔の先人たちは、この作業やトレーニングに励んでいました。

私の師匠の吉田も、飯より逐語が好きなのではないかという人間でした(笑)

傾聴・共感的理解のコツはこれ

逐語を通して人の話にふれると、実に奥深い発見の連続です。

人が発する言葉、表現、その一つ一つに「その人」が現れています。

こうした作業を続けていると、人の話や言葉には、無駄なもの、無意味なものなど一つとして無いのだということがわかります。

一つとして無駄、無意味さがないと実感できれば、一言も漏らさず集中して(エネルギーを投入して)聞こうという気になります。

これが吉田の言っていた「聞く姿勢」だともいえます。

別な言い方をすれば、相手の話に興味津々の状態になるのです。

カウンセリングにおいてカウンセラーは、クライエントの話に興味津々になる。

相手(の話)を「知りたい」「わかりたい」「それで?」という関心の持ち方になる。

これが傾聴の基本姿勢だと私は伝えています。

決して分析したり、ジャッジしたり、解釈したりといった聞き方ではありません。

相手が言いたい事を言いたいままに聞こうという姿勢です。

「そうか、そういうことが言いたかったんだ」「なるほど、そういうことか!」

そういう反応が内側から自然に、しかもはっきりと起こるような聞き方ですね。

(そして私はこの反応を共感もしくは共感的理解と呼んでいます。)

この「なるほど」「そうか」という反応は、静かだけれども確かな反応です。

相手の言いたいことが本当に理解できた時に起こる反応です。

これが「わかったつもり」の反応だと、静かで確かな・・・という風にはなりません。

ざわついたような、それでいてどこか心もとない反応とでも申しましょうか。

本当に理解できた時の反応とはやはり違うのです。

カウンセリング応答のコツはこれ

そして本当に理解できた時の反応があれば、応答は自然と浮かんできます。

「どう言えばいいだろう・・・」

という思考を無理に働かせる必要もなく、自然と適切な言葉が浮かんできます。

クライエントにとってピッタリとくる、思わず「そうです」というクライエントの反応が起こる。

そういう言葉(応答)が自然と無理なく浮かんでくるんですね。

この領域の感覚を自分のものにしていくことが傾聴トレーニングや応答トレーニングの目的であり、一つのゴールです。

この感覚を得られたら、後はどれだけそうした反応がコンスタントに出てくるか?

つまりこのスキルをどれだけ定着させられるかのトレーニングを続けます。

つまり、再現性を限りなく高めていくことをやります。

こう説明すると、何も難しいこと、複雑なことはやっていません。

要は繰り返しと積み重ねであり、そこにちょっと粘り強さがあればいい。

それだけで傾聴の実力がついて、レベルアップしていくんです。

実践的トレーニングを避けて、知識や理論学習に逃げないこと

ここで大切なことは「知識に逃げない」ということです。

心理学や精神医学の基礎知識は、もちろん必要です。

でもそれを、こうしたトレーニングから逃げるためにやって頂きたくはないんですね。

傾聴や応答のトレーニング、そして逐語の検討。

正直、少しへこみます。

なぜなら、特に最初は自分の出来なさ加減にガッカリするからです。

でも、それも最初のうちで、少し続けるとどうでも良くなります。

それよりもやがて「少しでも向上したい」という意欲の方が勝ってきます。

要は積み重ねです。

出来るようになるまでひた向きに繰り返していけば良いだけです。

師匠の吉田が生前、弟子たちにこう言っていました。

「余計なことを考えずに、ひた向きにやればいいだけ」

シンプル過ぎますが、核心をついていると思います。

本当の傾聴効果がわかっていない

最近では様々な職種の方が傾聴を学ぶようになりました。

心理職だけでなく、福祉、医療、教育関係や、会社勤めの方々。

人事・教育部門の方や営業・接客をされている方など、多岐にわたります。

そんな風に注目され、多くの方が学んでいる傾聴ですが、これまた多くの学習者が迷路にはまっているのも事実です。

心理の資格はたくさんあるし、有資格者も多くいます。

実際にカウンセリングを仕事にしている人もたくさんいます。

それにもかかわらず、傾聴を実践できている人が少ないのです。

なぜ傾聴がここまで実践できない人が多いのか?

それは、そもそも傾聴にどんな効果があるかを理解できていない人が多いからです。

本当の意味で傾聴が人間援助にどれほどの力となるかを知らない人が多いのです。

正確に聞くこと、聞けることがクライエント援助に

よく言われるのは「カタルシス効果」などです。

確かに、思いのたけを言葉にして語り尽くす。

その心理的効果も決して小さなものではありません。

しかし、傾聴の本当の効果とは違います。

傾聴をしっかりと実践できると、クライエントの精神機能が回復していきます。

傾聴するだけで、どうしてそんな変化が起きるか?

皆さんはおわかりでしょうか?

ここでもう一度、臨床カウンセラー養成塾での「傾聴の定義」をお伝えします。

「傾聴とは、相手の話を正確に聞くことであり、聞けること」

これが傾聴の定義です。

そして「正確に」というのはどの程度の正確さかというと「相手の話を一言半句漏らさず、違わずに聞く」というほどにです。

こうした聞き方を面接時間一杯に維持することで、クライエントの内面ではいかなる変化が起きるのでしょうか?

クライエントがカウンセリングで話をする時は、多くの場合、精神的に不安定であったり、混乱していたりします。

感情面でいうと、不安や怖れ、迷い、苦痛、悲しみ、孤独、そして絶望感に苛まれた状態です。。

こうした状態にある人間の話を、カウンセラーは全身全霊を傾けて聞きます。

全身全霊とは、先にお伝えした「一言半句漏らさず、違わずに」ということです。

私たちは自分が話している話を、聞き手によって集中して聞いてもらえると、自分が相手に限りなく受け入れられていると感じます。

それは限りない肯定感につながりますし、あたたかい経験となります。

そうした経験はクライエントが立ち直る上で、一つの力になります。

傾聴・応答の真の効果

また、傾聴してしっかりとした理解をもてたカウンセラーは、当然ですが適切な応答を投げ返すことができます。

適切な応答というのは、クライエントの訴えたい事を実に見事に理解したということが伝わる応答です。

この応答、つまりカウンセラーの言葉や態度に何度も触れることで、クライエントは勇気づけられていきます。

また、クライエントの話をしっかりと傾聴することで投げ返される応答。

その応答にふれることでクライエントは自分が話した内容や言葉、その時々の気持ち、感情、背景にある捉え方に気づきます。

つまり、クライエントの自己理解や問題に対する理解が進みます。

そうして一つ、また一つとパズルのピースが埋まっていくことで、問題の全体像が喘鳴になり、細部への理解を新たにできます。

ここまでくると、クライエントは主体的に取り組む動機づけが生まれ、自ら問題解決に積極的に取り組むようになっていきます。

もうおわかりだと思いますが、こうした全体的な取り組みの入り口。

それが傾聴であるということなのです。

ですから、入り口である傾聴が上手くできないということは、カウンセリングや対人援助全体の取り組みが成り立たないということです。

そう考えれば、どんな心理療法であっても、先ずは傾聴が必要であり、傾聴力が必要だということがわかります。

傾聴が難しいから他の心理療法に切り替える。

この発想がある意味、短絡的で危険であるということもいえるわけです。

「傾聴の効果は何か」となったとき、このような全体的で細部にわたる話になります。

傾聴ができない、つまり正確に聞けない。

そうなると、その後の理解も、応答も、クライエントの変化も、全て歯車がかみ合わなくなってしまうのです。

逆にいえば、傾聴がしっかりと出来ている限り、その後の理解や応答、ケース全体の理解も的を射たものになるわけです。

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