傾聴の反射神経とは、相手の話を聞いている時に起こる内的反応のことです。
この内的反応を研ぎ澄まし、安定させ、適切な応答に言語化していくことが傾聴の秘訣です。
しかし、多くの学習者や学習機関までもが、この反射神経を磨くことができず、迷路にはまっているのが現状です。
今回は「しっかり聞けるようになりたい」という学習者・プロの皆さんにそのあたりの答えを以下に解説します。
もくじ
傾聴の反射神経とは何か?
「鈴木先生はメルマガの中で傾聴の反射神経という表現をされますよね。
この反射神経という言葉のニュアンスを自分はいまひとつ理解できずにいます。
今日はそれを是非直接お伺いしたいと思っていたんです。」
それは「傾聴スキルセミナー」というセミナーでのことでした。
参加者から上記のご質問を頂いたのです。
確かに私が最初にこの「 反射神経」という言葉を使った時には、いくばくかの説明を加えたと思います。
しかしその後、この反射神経という言葉は当たり前のようにブログやメルマガの中でも使うようになっていました。
ですので、途中からメルマガに登録された方からすれば、この反射神経という言葉のニュアンスがわからないということが起こるでしょう。
「反射神経」の言葉の意味を調べると「 刺激に対して瞬間的に反応する能力」となっています。
つまりあまり意識せずに、どちらかと言うと無意識に出てくる反応とも言えます。
そしてこれを傾聴に当てはめるとどういうことが言えるか。
傾聴の反射神経とは次のようなニュアンスで使用しています。
「聞き手が相手の話を聞いている時に瞬間的に出てくる反応」
つまり、 別の言い方をすると、相手の話を聞いている時に内面から思わず出てくる反応ということです。
正確に聞くこと(傾聴)を邪魔する内面反応
この反応は、感情的なものであったり、 記憶や思考であったり、言葉であったりします。
そしてこの反応は傾聴や共感的理解をしっかりと実践するために、必ずしも好ましい反応ばかりではありません。
相手に対する否定的なものであったり、自分に対しての否定的なものであったりします。
感情で言うと、怒り、不安、 戸惑い、動揺、落胆、焦りなどです。
その他、否定的な記憶、否定的な思考、否定的な言葉などですね。
こうしたものがとっさに、瞬間的に聞き手の中で出てくるわけです。
こうした要素が相手の話を正確に聞くことをに邪魔になることは言うまでもないでしょう。
ですから、傾聴の反射神経を磨くというのは、こうした要素が傾聴を促進するものにすることを意味します。
瞬間的に、無意識に出てくる感情や思考や言葉が、傾聴や共感的理解を確かなものにしていく。
具体的なゴールは、直感的に適切な応答が浮かんでくる状態です。
正しい傾聴トレーニングがカギ
「そんなことができるのか?」 と思われるかもしれませんが、トレーニングを積めば誰でもできるようになります。
トレーニングというのはそもそも、どんな認識してもうまくできなかったことを、無意識にできるようにしていくためにするもの。
傾聴の反射神経とは生まれ持ったセンスではなく、経験値と訓練によって再現性を高められるものなのです。
先日行った傾聴レッスン、つまりロールプレイもこうした反射神経を洗練させていくためにおこなっているのです。
やり取りを録音し聞き返すことにより、それぞれが無意識に行っていた、無意識な反応として出てきているものを正確に検証できます。
自分の気づかなかったクセや未熟な部分を正確に認識することができます。
こうしたトレーニングを繰り返し継続することで、カウンセリングのスキルは着実にレベルアップしていくことになります。
防衛の強い人ほどこうした訓練を嫌がる傾向にありますが、嫌がらずに率先して取り組む人だけが見ることのできる景色もあるのです。
臨床は知識ではなく瞬間的な反応で勝負が決まる
私は30代後半から5年間、カウンセラーの仕事をしながら、師匠の研究所に通う毎日を過ごしていました。
仕事のある日は夜の授業が多く、それ以外は午前中や午後の授業に参加していました。
そして毎年夏休みは夏季ワークショップの時期。
集中的なトレーニングによく参加していました。
ケース研究、ロールプレイ、そしてエンカウンターグループ。
既にその頃から私は、臨床の反射神経をいかに磨くかというところに没頭していました。
その方法は、先ず自分の内側から起きる反応に注目すること。
そして、師匠である吉田哲の観察でした。
先ず私は研究所の授業を受けている時には、自分の中にどのような反応が起きるのかというところに神経を集中していました。
ケース検討の中で、他のカウンセラーのケースに触れた時、他の参加者の言動に触れた時。
そして、吉田哲の言動や態度に触れた時に、自分の中でどんな反応が起き、そして、どんな態度や言動を取りたくなるのか?
そこに常にフォーカスしながら授業に参加していました。
また、一方で吉田の言動や態度、その一挙手一投足に注目し続けました。
吉田の表情、言葉、着眼点、捉え方、諸々の反応など、その一つひとつに眼を凝らしました。
そして、なぜそのような反応になるのかを推察することをひたすらやっていました。
この頃は、何か新しい理論や知識を得ることよりも、こうした観察と分析を繰り返していましたね。
この積み重ねが今にとても生きています。
吉田哲を徹底的にモデリングすることで、自分の臨床の力や反射神経を少しでも磨こうと思っていました。
理論や知識といった知的なものではなく、反射神経という切り口から自分の臨床姿勢を見直そうとしていたのです。
結果として、それが良かったといえます。
心理学を学ぶと頭でっかちで身動きが取れなくなる?
巷の傾聴やカウンセリングの学習は、知的な部分にウェートを置きすぎています。
先日もある資格取得に励んできた方から、その協会の教え方を聞いて愕然としました。
最近かなり名の通った、受験者も多い資格を出している機関です。
あまりに呆れてしまい、その方のレッスン中なのに、思わず絶句しそうになったほどです。
その方はその協会の不適切な指導を受け続け、日常会話すらままならなくなってしまったそうです。
こういう行き詰まりを訴える方が、これまでにもたくさん私の所に来ました。
本当に臨床の現場で真っ当な経験値を積んだ人間であれば、絶対にしないであろう極めて不適切な指導でした。
でも、そこで学んでいる大勢の人たちは、その教えを守り、一生懸命その通りにしようとしています。
受講者たちは、教えられた内容に疑問や違和感を覚えても、他に正しい教えや指導を知らないのです。
だから、その疑問や違和感を半ば無かったことにしつつ、現場の実情とはかけ離れたことを、教えられた通りにやろうとするしかありません。
先日の個別レッスンでも、私はその方の疑問、質問に全て明確にお答えしました。
本人が心から納得し、腑に落ちたという感じになるまで、具体的に説明をしたのです。
その方はだいぶスッキリとしたようでした。
カウンセラーは自分の傾聴の反射神経を磨く
カウンセリングでは、カウンセラーの反応が、セラピーの成否を握る大きな要素となります。
ほんの一瞬見せる表情、たった一言の言葉や表現、途中で生まれる間や沈黙。
その全てにクライエントは全神経を尖らせて注目をしているのです。
だからこそ、カウンセラーは意識的にせよ、無意識的にせよ、自分が発する言葉や表現、自分が見せる反応や態度。
そして、自分の中から無意識に起こる反応など、その全てがセラピーになっているという自覚が必要です。
そして、こうした全神経が活かされるカウンセリングにするために、カウンセラーは自分の反射神経を磨く必要があります。
そのために、既にそうした反射神経を有している臨床家の一挙手一投足を観察することは、現場で本当に必要とされる反射神経を獲得するための最も大切な学習になるのです。
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こういう話は、おそらく他では知り得ないと思います。
本当の意味で、現場で使える傾聴を身につけたい、そのために必要なことを知っておきたいという方。
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