カウンセラーが教えることはあるのか?


カウンセラーのすべきことはクライエントに何かを教えたり、気づかせたりすることだというのは傲慢な話です。

教えられることなどそれほどないし、教わることの方が多い場合もある。

カウンセリングにおいて傾聴を実践すると、そういうことを肌で感じられるようになります。

カウンセラーはクライエントに指導する?

先日「エンカウンターグループ」というグループセッションを実施しました。

8名という少人数で行ったため、一つ一つの話題が深まり、とても濃密なセッションとなりました。

お互いが心を通わせ、温かい人間関係を実感し、分かち合えた時間になったと思います。

そして、そこで話題になったことの1つに、カウンセリングの勉強の仕方というものがありました。

参加者の何人かは、以前は別のところでカウンセリングの勉強したり、あるいは別のところでカウンセリングを受けたことがある方々でした。

その方々の経験談が非常に興味深いものでした。

カウンセリングを学んだ方と受けた方、その両方の方から伺った話で、1つ一致している内容がありました。

それは、カウンセラーがクライエントにものを「教える」という姿勢についてでした。

ある団体でカウンセリングを学んだ方は、聞いているだけではらちがあかない。

だから、クライエントにいろいろなことをカウンセラーは教えてあげなければならない。

そういう指導を徹底されたというのです。

私はその話を聞いて、あー、またか…と思いました。

なぜならそのような指導の話は、これまでに何度も何度も耳にしてきたからです。

結果としてその方はその指導ではどうにもうまくできずに、完全に行き詰まってしまったと言いました。

ただ聞くだけでは何も進展しないのか?

カウンセリングを受けた方の話も同じ内容でした。

カウンセラーからいろいろな指導を受けた。

カウンセラーがずっと喋っているので、こちらも合わせなければならないと思って話を聞いていた。

つまり、クライエントがずっと傾聴に努めていたということになります。

しかしこの種の話も私は何度も聞いてきました。

こういうカウンセリングがあちこちで行われるのも、「教える」という指導が横行しているからです。

ただ聞いているだけでは何も進展がない。

だから、カウンセラーはクライエントにいろいろなことを教えたり気付かせたり分析を行わなければならない。

そういう指導で行き詰まる人もいれば、このように履き違えた面接を正しいと思い込んで続けている人もいます。

ただ聞くことと傾聴との違いとは?

ただ聞いているだけでは何も進展がない。

実はこの部分だけは正しいのです。

しかし、だからカウンセラーがいろいろ動かなければならないというのはあまりにも短絡的すぎると思います。

そこいは「ただ聞いている」ということと「傾聴」ということとを混同している指導側の浅はかさが伺えます。

傾聴というのはただ話を漫然と聞くことではありません。

もうこのメルマガでも何度も伝えていることではありますが、傾聴とは相手の話を一言半句違わずに正確に聞くことです。

相手が伝えたいこと、言いたいことを、伝えたいままに言いたいままにインプットする行為なのです。

それには、微細で鋭い連続的な反射神経が必要となります。

相手の話の内容や言葉、表現から、相手の心や感情までを把握する継続的で鋭く深い集中力も要します。

だからこそ、傾聴の反射神経を養うトレーニングが重要となってくるのです。

それをただ漫然と話を聞くことと混同しているから、基本をおろそかにしたカウンセラーの独壇場が生まれるのです。

現にそうしたカウンセリングを受けてこちらは何も言えずに聞くばかりだったと言うクライエントもいるわけです。

話したい事があったにもかかわらず、ただずっと聞くしかなかったと言うのです。

一体どちらがカウンセラーなのかわからない話ですね。

でもこのような話は本当によく耳に入ってきます。

カウンセラーが教えられることなどあるのか?

正直、現場でずっとカウンセリングしてきて思うのは、カウンセラーがクライエントに教えられることなど、そうそうないということ。

お互いどうすればいいかわからないところから一緒に手探りでものを考えていく。

ずっと話し合いを続けながらそこから浮かび上がったものを2人で真剣に捉え直していく。

カウンセリングで行っている作業とはこういうものなのです。

決してカウンセラーがクライエントが全く知らなかったことを目から鱗のように教えられるという話ではないのです。

それはクライエントという人間をあまりにも見くびった話です。

クライエントも、その人なりの人生経験を積んでいます。

悩みや苦しみの中で、人知れず計り知れない試行錯誤を続けてきています。

そんなクライエントの経験を生かさない手は無いのではないでしょうか。

カウンセラーができることがあるとすれば、こうした取り組みを一緒に地道にやらせていただくこと位なのです。

しかも、こうした作業から生まれてくる事はいろいろあります。

クライエントの知恵、経験値、人生観、思い。

そうしたものを分かち合うことで、クライエントも救われるだけでなく、カウンセラーもそうした取り組みそのものがより豊かな経験値になっていくのです。

結果的にはカウンセラーもそのカウンセリングから学ぶことが多いのです。

そんな尊い経験の場においてカウンセラーが物知り顔に教えられることなど私はほとんどないのではないかと思います。

「わからない」「わかっていない」ということをどこまでも大事に

何だかんだ、対面カウンセリングを始めて15年が経とうとしています。

そこそこ長くやっているなと思うわけですが、やればやるほど思うことがあります。

それは「人間の心はわからない」ということです。

いくら経験を積み重ねても、カウンセリングは難しいですね。

むしろ、経験を重ねれば重ねるほど、その難しさを思い知らされるかんじがします。

例えば、一人のクライエントとカウンセリングを一年続けたとします。

そうすると、1年経ってから初めて出てくる話があったりするわけです。

「え?そうだったの?」「ああ、そういういことだったのか」

そんなお話が1年やることで出てくることってあるんです。

この場合、カウンセラーの関わり方が浅かったか、本当に1年かけないと出てこない話だったのか?

この部分の検討の余地は常にあります。

検討の余地はあるんですが、それも含めてそこに難しさを感じます。

出てきた話によっては、こうも思います。

ああ、この人がこの話をするのには、1年という時間が必要だったんだ。

話す体制が整うのに1年が必要だったんだ、1年かかったんだということです。

何が言いたいかというと、だからカウンセラーはクライエントの事をすぐにわかったとはならない。

クライエントに対する理解は、常に疑問符「?」を横に置きながら聞くこと。

これを基本に据えることが大事だということです。

私は、仮にそれが3年通っているクライエントであっても、毎回「私はこの人の事をまだわかっていない」という姿勢でカウンセリングに臨みます。

そして案の定、違った話、新しい話、これが核心だったんだという話が出てきます。

先にも書きましたように、それはカウンセラーの聞き方が浅かったためかもしれません。

しかしそれ以外には、やはり一年というカウンセリングを経験したからこそ得られる洞察や気づきというのがあるのも事実です。

だからこそ、カウンセラーはクライエントに対して常に「まだ知らないことがある」「まだわかっていないことがある」という前提に立つことです。

以前、私がカウンセラーになるきっかけを与えてくださった竹内成彦先生が仰っていました。

「カウンセリングでは、わかったと思った時が落とし穴だと思ってください」

15年続けてきて、この言葉はまさに真実だと実感してきましたし、この言葉を忘れたことはありません。

真の共感的理解と傾聴

ただ、本当の意味でわかった時というのがあることも事実です。

その時は深く理解できた感覚というものがあるんです。

その感覚とは静かで深い感じがって、それでいて確かな感覚です。

そうではない浅い理解の時は、その感覚にどこか無理があるというか、不自然な感じが残るものです。

この違いも、しっかりと経験値を重ねていくことでわかるようになります。

人間、確かな理解がもてた時は、それがわかるものなんだなと思いました。

そして、その理解を言葉にして「応答」に反映させると、だいたい「その通り」という反応がクライエントの内側から生まれます。

この反応を確認できることで、カウンセラーの理解がクライエントの理解してほしいことと一致しているといえます。

この一致を以て、やっと話は次へと二人で進んでいけるわけです。

そして、この辺のやり取りをより確かに検討したい場合にこそ、録音や逐語検討が有効になるわけです。

クライエントの言いたいことを言いたいままに理解する。

これはまさに「言うは易し行うは難し」です。

しかし、クライエントは理解してほしいこと、伝えたいことがあるから話に来ているわけです。

であるならば、やはりカウンセラーは「理解に努める」「理解に専念する」「力を尽くして理解する」という姿勢と関りが大切ですね。

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