不登校への対応(引きこもりを防ぐために)


不登校への対応についてまとめています。

不登校は長期化すると、そのまま引きこもりに移行してしまいます。

つまり、学校に行かない時間が長ければ長いほど、学校に行けなくなり、社会復帰も難しくなるということです。

そうならないために何をすれば良いのか?どう捉えればいいのか?

以下に解説しています。

不登校の子供の暴力・暴言への対応

それまで暴力など振るったことのない子どもが、不登校になって荒れると、親御さんは戸惑います。
特に思春期の男子が大きな声を出したりモノを壊したり暴力を振るったりして荒れてくると、我が子といえどお母さんは怖くなります。
それまで荒れることのなかった子が急に荒れるということは、その子を刺激する問題が発生しているからです。
不登校の子が荒れる場合、主に不適切な登校刺激やその子が一番傷つくこと、嫌がることを言ったりやったり投げかけたりしているケースがほとんどです。
ですから、暴力や暴言を鎮めたいのなら、何がその子をそこまで刺激しているかを理解し、その働きかけを控えることで暴力や暴言はおさまります。
暴力や暴言が止まないのは、その子を極度に刺激することをこちらが無自覚にやってしまっている場合です。
こちらが刺激しているという意識や自覚がないので、その子を刺激する働きかけをこちらが繰り返してしまっている。
そのために暴力や暴言が繰り返されると考えるべきです。
ただ、この状態が長期化・慢性化すると、こちらがそのような働きかけをしていなくても、子どもの中で何かストレスになることが起きると、半ば八つ当たり的に暴力や暴言をすることがあります。
こうなると、対応はより一層難しくなるので、できるだけ早期に子どもを刺激する働きかけに気づき、控えることをおすすめします。

長い不登校の深刻な問題

不登校が長期化すると、不登校が始まった時点にはなかった「別の問題」が発生してきます。
長い間学校に行けない生活が続くことによる精神的なダメージが起きるんです。
学校に行けていない自分を、子どもたちは否定的に捉えます。
みんな学校に行っているのに自分だけ何をやっているのかと、とてもみじめな思いに苛まれます。
窓の外からの登下校の「声」を耳にするだけで自分を責めます。
何気なくつけたテレビに学生服を着た子が映っているのを目にするだけで自分を責めます。
学校の配布物をリビングで目にしただけで自分を責めます。
家庭訪問した担任に「会いたくない」としか答えられなかった自分を責めます。
そんな葛藤が日々、心の中で起こり続けているうちに、やがて精神的なバランスをさらに崩し、自己否定感が強くなっていきます。
不登校の子が部屋に閉じこもりがちになるのは、こうした葛藤に耐えられないからでもあります。
家でゴロゴロしているように見えても、ゲームやネットに没頭して気楽に過ごしているように見えても、心の中では嵐が吹き荒れ、傷が深まっていくのです。
やがて心のダメージは大きなものになり、回復にはそれ相応の時間が必要になります。
また、不登校の長期化は次のような大きな問題を生みます。
それは長い間同学年の子どもたちとの接触がないことで、人間関係を経験できずに時が経つということです。
人間関係の中で働かせていく神経を長い間使わないことで、この神経がだんだんと働かなくなっていくのです。
その結果、学校の人間関係の中で育っていくコミュニケーションの反射神経が育たないので、人との関りを築くことが困難になっていくケースが多く出てきます。
再登校してもすぐにまた行けなくなったり、大人になって社会生活を満足に遅れずに引きこもってしまうのは、こうした心の問題が長い不登校生活によって肥大化してしまったからです。
ですから、不登校の長期化はやはり避けたいし、重要なのは「初動」です。
休みがちになったり、不登校になった時、できるだけ適切な対応をどこまでできるかが非常に重要になってきます。
また、休んでいいる間にその子とどう関わっていくかも重要です。
ですから、芸能人などが「学校は無理して行かなくもいい」とメッセージするのはいいのですが、子どもにしてみたらこうした葛藤や問題をどうすればいいのかがわからないままでは、そんなメッセージは受け取りようがないといえます。
「行かなくてもいい」は一時的な話ですし、しかも「何が問題でどうすれば解消できるかを一緒に考える」という取り組みとセットで無ければ、「学校なんか行かなくても・・」というメッセージは、大人のただの無責任な言動にしかなりえません。

不登校は「そっと見守る」だけでいいのか?

結論からいうと、ダメです。
ずっと見守っていたら、そのまま引きこもりになってしまうケースも出てきます。それもかなりの確率で。
ではなぜ「そっと見守りましょう」といったアドバイスが広まったのか?
一つには無理に登校を強要したことで、子どもが精神のバランスを崩し、身動きが取れなくなったり、心の病を発症してしまうケースが後を絶たなかったからです。
もう一つは、無理に不登校の原因を聞き出そうとして、子どもが心を完全に閉ざしたことで、適切な対応が取れないまま不登校が長期化してしまったからです。
この2つのケースはその後、そのまま引きこもりへと移行し、現在の中高年の引きこもりにつながっています。
こうした事態が相次いだため、強引な働きかけを避けるべきという捉え方から「そっと見守る」という考え方が生まれました。
しかし、この「そっと見守る」というのは、結果として「放っておく」のとあまり変わらない形になってしまい、結局は不登校の長期化と引きこもりへの移行につながっています。
では、「そっと見守る」は完全にNGなのでしょうか?
いえ、そんなことはないのですが、この「そっと見守る」を有効にするのには、条件があります。
先ず、見守るのは「期間限定」であるということ。
その期間というのは、まず何らかの働きかけを行うには、子ども本人の精神状態が耐えられないと判断できる時期。
まだ、再登校に向けて何かできるだけの状態にはないという時です。
もう一つの条件として、ただ「見守る」だけではなく、それと同時並行して不登校の原因を見つけ、その原因(問題)となっている要因について解消または解決のための対応を行うことです。
ただ、不登校の原因について、本人の証言だけに頼ろうとすると失敗します。
なぜなら、その理由を本人がしゃべりたくないものであったり、話せないようなものである場合、「どうして行かないの?」「何が嫌なの?」と迫られると困ってしまうからです。
不登校の原因を探る場合、本人に訊かないで、それ以外の情報や本人の様子から見極めていくことになります。
私も不登校のケースでは本人からその理由を聞ける場合は少ないですし、本人が行けない理由がわかっていない場合もあります。
下手に本人に迫るくらいなら「そっと見守る」という話なんでしょうが、それだけというのも乱暴な捉え方です。
不登校には必ず原因や理由がありますので、それを解決しない限り再登校(もしくは転校・進学)はできません。
ただ、不登校の原因を把握していくのは、かなりの専門性と経験値が必要です。
そして、不登校の期間の接し方や支援者の動き方、再登校や転校、進学に向けてのコーディネートには、更に専門性と経験値が必要になります。
関わるカウンセラーや教職員、そして保護者は、そうした分野の信頼できる専門家(スーパーヴァイザー)の助言を受けながら対応することをお勧めします。

不登校の主な3つの原因はこれ

不登校の原因は大きく分けると次の3つになります。

1)学校生活に起因
学校で嫌な思いをしたり、トラブルが発生したり、思うように適応できない場合です。

2)家庭(家族)に起因
両親の離婚や不和、嫁・姑問題、親子関係、親の人格の未熟さ、その他の家庭のトラブルなどです。

3)本人の成長・発達課題に起因
日本の学校生活が苦手な気質やパーソナリティー、同年齢の中で成長がゆっくり、発達障害や知的な問題などです。

この中で1)なら学校を休むことでストレス要因の回避がある程度可能になります。
しかし 2)は家に問題があるため、休むだけでは問題解決もストレス要因の回避もできませんし、場合によっては休んでもより問題が深刻になったり、よりストレスが増大するケースもあります。
また3)は本人の成長や適材適所を視野に入れたサポートが必要で、これも休むだけでは解決も進展もないケースとなります。
さらには、これらの1)~3)の原因は単独の場合もありますが、複数が複合的に起こっている場合もあれば、一つの要因によって不登校が長期化することで、他の要因も追加的に問題になってくる場合もあります。
こうした背景があることを考えると、子どもの成長というのは、単に学校に行けていれば安心で、行けていなければ問題という単純な話ではないことがわかります。
そしてこの1)~3)もさらにそれぞれに細分化して分析や対応を行う必要が出てくるのは言うまでもありません。
子どもが不登校になった場合、先ずはこの1)~3)のいずれが問題なのか?複合要素がないか?そこを検討してみてください。
このように不登校は学校に原因があるケースだけではなく、他にもいろいろなケースがあるということを知っておいてください。

学校に「行かない」と「行けない」の違い

不登校には学校に「行かない」というケースと「行けない」というケースとがあります。
「行かない」というのは、そこに子ども自身の意志が出ている場合。
自ら「行かない」「行きたくない」と言う場合や、言葉にしなくても登校することを拒否する場合です。
この場合、本人の中で行きたくない理由がある程度、明確になっていることが多いです。
ただ、明確になっているからといって、その理由を口にできるかどうかは、その理由にもよりますし、それまでの親子関係にもよります。
「いじめ」や「学校でのトラブル」がその代表的な例です。
特にいじめの場合、簡単に口にできない場合が多いですね。
続いて「行けない」というのは、自分でもなぜ行けないのかがわからないという場合です。
「自分で不登校の理由がわからないなんてことがあるのか?」と思われるかもしれませんが、こうしたケースはたくさんあります。
当然「なぜ行きたくないの?」と質問されても、本人は答えようがありません。
この場合、身体症状に現れやすいですね。
発熱するとか、頭痛や腹痛、嘔吐や下痢などの症状が出るとか、登校しようとすると動けなくなるとか、身体がSOSを発します。
トイレから出られなくなることもあれば、視力が急に低下するとか、手を洗い始めて止められなくなるなどの「強迫行為」となる場合もあります。
ここまでの状態になっても、子ども本人がどうしてそうなるかがわからないという事も多いのです。
ちなみに、行きたくない理由はわかっていても身体症状が出るケースもあります。
これはその理由が本人にとってあまりに大きなストレスとなっているために身体に症状が出てしまう場合と、無理に登校させようとした場合に起こります。
いずれにしても、こういう事態になったら休ませてあげるしかありません。
そして、子どもに起きている問題を解決するために、先ずは休ませて態勢を立て直すというつもりで休ませると考えてください。

追記:
ちなみに、本当に風邪や体調不良、病気で「行きたくない」「行けない」という場合もあります。
全てが「心因性」だとは限らないということも、付け加えておきます。

子どもが「学校に行きたくない」と言ったら・・・

2学期に入り、学校に行き渋ったり、行きたくないと訴えるお子さんが出てきています。
私の所にも、2学期明けからいくつかご相談がきています。
まず「行きたくない」と訴えた場合、なぜ行きたくないかハッキリしなくても、最低1日~2日は休ませてあげる方が良いと思います。
それで行けるようになるのであれば、しばらく様子を見ます。
それでも行けない場合、その子の中で何か行かない、もしくは行けない理由がある可能性が高いです。
ここで親御さんは、猛烈な不安に襲われます。
その不安とは「このままずっと不登校になったらどうしよう」というものです。
あるいは「これで休みグセがついたらどうしよう」です。
ある意味、親御さんがこうした不安に襲われるのは当然です。
しかし「行きたくない」や行けない状態の子を無理に登校させ続けても、それで行けるようになる場合は少ないと思ってください。
むしろ、無理に登校させ続けることには、学校(登校)への嫌悪感が増したり、自尊心が崩れたり、親や大人への不信感が根付いたりと、様々なリスクがあります。
親御さんが一緒に学校に送れば行けるという場合も、その多くは親に気兼ねして行きたくないのに行くしかない状況に追い込まれているのと一緒だったりします。
学校に行くことよりも大切なのは、学校に行きたくないと訴える子どもが抱える問題が解決されることです。
また、不登校の原因については、率直に言える種類のものと、絶対に言えないと思っているものと、上手く言葉にできない場合と、いろいろとあります。
子どもが行きたくない、あるいは行けない理由について明確に言葉にしてこない場合は、これも無理に登校を強要せず、休ませてその様子を観察し、不登校の原因を見極めていきます。
誤解のないように書きますが、これは「学校なんか行かなくても人生何とかなる」というような乱暴で無責任な捉え方とは違います。
多くの子どもは「学校に行きたい」「行かなければならない」「行けたらどんなにいいだろう」「皆は行っているのに自分は・・・」という葛藤の中にいます。
この葛藤についても一緒に考えてあげることが大事で、基本的には「どうしたら行けない理由がわかり、その問題が解消するか」を一緒に考えることが先決です。
また「行かない」と「行けない」も、厳密にいうと違う捉え方が必要ですが、これはまた別の機会にお伝えします。

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心理カウンセラー・臨床カウンセラー養成塾 塾長 鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

台湾でも出版された「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」の著者で、心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。
コーチとしても様々な目標達成に携わる。
 詳しいプロフィールはこちら

著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」