傾聴力、コミュニケーションの、ものすごく大事なお話

傾聴力、コミュニケーションにとって大事なことは、何のために話を聞くのか、その本質を理解することです。

何のために話を聞くのかが理解できるからこそ、ではどうやって傾聴するのが良いのか、どうトレーニングや学習をすれば良いのかが見えてきます。

ところが、多くの人たちが傾聴の本来の目的、意義を理解しないまま、漫然と話を聞こうとして迷路にはまります。

今回は傾聴力、コミュニケーションを何らかの形で学ぶ人たちに向けた本質のお話をします。

傾聴「聞くことさえ出来れば何とかなる」師匠の言葉

私が師匠のカウンセリング研修に参加していた時でした。

確か参加していたカウンセラーの録音と逐語によるを研究授業だったと思います。

授業の終盤で、師匠がカウンセリングについて話し出しました。

師匠が言ったのはこういうことでした。

自分はカウンセラーになって、面接では、最初の25年はひたすら聞いていた。

途中で何かカウンセラー側から助言めいたことを言ったり、質問したり、そういう余計な動き方は絶対にしなかった。

私が現在のような(動く)スタイルになったのは、最近のことだ。

こっちは44年、臨床をやっている。

下手に(皆に)真似されては困る。

確かに下手に真似されたら困るでしょう(笑)

師匠は話を続けていたのですが、私は途中から質問をはさみました。

鈴木「共感とか、応答とか、いろいろあっても、まずは聞くことなんですね」

師匠「まずは聞くことだ。とにかく聞くことさえできれば何とかなる」

鈴木「何をやるにも、聞くことができなければ始まらないと?」

師匠「そうだ。簡単にはいかないから、ひたすらやるしかない」

鈴木「それは、終始そうした姿勢が必要になりますね?」

師匠「そう、だから聞くということは、もう、姿勢とか態度という話になる」

鈴木「・・・・・・・」

師匠「とにかく『ひたすら聞く』しかない。余計なことを考えないでいい」

私は時々、このような問答を師匠としました。

もちろん、問答をする意図はなく、私としては、ただ「聞けるようになりたい」という、その一心で師匠に質問しているだけでした。

私がした質問が、師匠にとって、ちょっとでも気に入らない質問だと、何も返事もしてもらえないという時もありました。

しかし、私は臆せず、質問を続けたものです。

「聞く」と「聞ける」の違いとは

カウンセリングを学習している方はたくさんいらっしゃいます。

しかし、本当の意味で「聞ける」とはどういうことか?

それを分かっている人は、少ないでしょうね。

さらに、聞けたという「感覚」をもっている人は、もっと少ないでしょう。

カウンセリングの学習を続けている多くの人は、自分が「ちゃんと聞けていない」ということはわかります。

養成塾で実習をすると、それが如実に実感できます。

一方で「どうしたら聞けていると言えるのか?」となると、わからない、実感がない人が多いでしょう。

以前スカイプカウンセリングをしたクライエントの方が、次のような表現で、自分のことを話されていました。

「自分は人の話を聞いてはいるけど、聞けているわけじゃないと思います」

聞いてはいるけど、聞けてはいない。

この両者の差は、そう証言した本人が一番自覚するところでしょう。

この両者の差は、いったいどこからくるのでしょう?

傾聴できる「聞ける」ために必要なのは集中力

おそらくその差はズバリ、集中力の差であるといっていいでしょう。

聞く、そして聞けるという状態は、相手の話以外には、何も耳に入らない、何も気にならない、それほどの集中力を要します。

それは、盤面に向かって次の一手を考える棋士のようかもしれません。

あるいは、ミリ単位の切削作業を続ける職人のようかもしれません。

私の師匠はその感覚を「針の穴に糸を通す感覚で聞く」と言っていました。

ここまで読んで、もしかしたらこう思うかもしれません。

相当に集中力がいるし、訓練も必要になるのはわかった。

でも、そういう力を身につけるためには、どうすればいいのだろう?

こうすれば傾聴できるようになるたった一つのポイントとは?

実は、答えは簡単です。

「聞けている」とは、相手が一番言いたいこと、伝えたいことを、こちらがそのまま聞き取れていることだといえるんです。

もう一度言いますよ。

「相手が一番言いたいこと、伝えたいことを、こちらがそのまま聞き取れていること」

そうなんです。

たったそれだけなんですよね。

でもここで、更に次のような疑問が残るかもしれません。

「聞けているかどうかをどう確認すればいいのか?」

「相手の一番言いたいことを聞き取れているかどうかを、どうチェックすればいいのか?」

そう、問題はここなんですね。

多くのカウンセラーや指導者が、明確に答え切れない問題です。

でもね、これも答えは簡単なんです(笑)

いえいえ、ほんと、簡単なことなんですよ。

傾聴できているかは、応答によって確認される

答えはこういうことなんです。

「聞き取ったこと、理解したことを言葉にして返せばいい」

私はあなたの一番言いたいことはこういうことだと聞き取ったよ。

私はあなたが一番伝えたいことは、こうだと理解したけど、これで合っている?

このように、「こういうこと」「こう」の部分を具体的に言葉にして返すことで、話し手に確認すればいいんです。

これをカウンセリングの世界では「応答」というわけです。

それで「その通りだ」という反応が話し手から返ってくれば、そこで初めて「聞けた」となるわけです。

クライエントは、自分の伝えたかったことそのものを返されたとき、「その通りだ」という反応が内側から思わず出てくるものです。

ですから、この応答が「オウム返し一辺倒」で良いはずがないわけです。

なぜなら、カウンセラーの理解を具体的にクライエントに伝え、了解をもらうプロセスだからです。

たしかにメカニズムとして理解するのは簡単なんですよ。

でもね、これを「実践できるようにする」のは、もちろん簡単じゃない。

「知っている」と「できる」の間にある大きな溝を埋める必要があります。

マスターするには、試行錯誤や練習が必要になるんです。

繰り返し自分の聞き方をチェックする方法

・「聞ける」とはどういうことか?

・どうなれば「聞けた」といえるのか?

・「聞けるようになる」ために必要なことは何か?

・どうすれば「聞ける」ようになるのか?

カウンセリングを学ぶということ、そして力をつけるということは、それぞれの問いの答えを自分なりに持つことだといってもいいでしょう。

そして、そのためには、何度も何度も自分の聞き方をチェックする。

それ以外には方法はないわけなんです。

繰り返し、繰り返し、自分の聞き方をチェックする。

正直、嫌になるほど、何度も何度もです。

でも、その取り組みを続ければ、誰も追いつけないほどの「聞く力」を獲得できます。

そのレベルに到達できたとき、私の師の、あの言葉の意味が初めて得心できるはずです。

具体的にはどうすればいいか?

自分の会話や面接を録音して聴き返す。

この訓練法は、正直、レコーダーさえあれば、誰にでもできます。

難しいテクニックなど要りません。

この「誰にでもできること」を、誰にもできないくらい繰り返す。

カウンセリング学習の王道は、これに尽きるといえますね。

傾聴は信頼されるためにある

カウンセリングや傾聴の勉強をすると、必ず「自分自身と向き合う」ことになります。

そこがこの勉強の大変なところでもあり、醍醐味でもあるのです。

単に知識や理論を覚え、頭で理解すれば良いというものでもないんですね。

特に、自分自身で「聞けるようになりたい」とか「カウンセリングを仕事にしたい」という動機でやっているのなら、なおさらです。

カウンセラーになりたいとか、カウンセリングのような対人援助の仕事をしたいのなら、問われるのは自分自身の姿勢とか人間性です。

心理の仕事だけでなく、福祉でも医療でも同じことです。

対人援助の仕事は、相手が生身の人間です。

そして心と心が通じ合うという部分がどうしても必要になります。

別なことばでいえば「信頼関係」です。

福祉や心理の世界では信頼される人間であることが必須

援助を受ける側が、援助をする側に信頼を寄せる。

そういう条件が全然ない場合、そもそも援助が成立しない。

「あなたに助けては欲しくない」と思われたら、援助にならないわけです。

そして、心理でも福祉でも医療でも、援助を必要とする人たちは、心に余裕がない状態である場合が少なくない。

普段の「その人」よりも感情的になりやすい状態にあるわけです。

そういう状態にある「その人」の力になるには、普段にもまして信頼される必要があります。

つまり、カウンセリングや傾聴を学ぶということは、相手から信頼される力を身につけるということに等しい。

そこに一つの大きな目的を見出して頂きたいのです。

信頼されない人間は、現場では仕事ができません。

もちろん、これはどんな業種・職種・業界でもいえることですが、援助の世界では特にそうだといえる。

オフィスで信頼される仕事ができない人が、心理や福祉でできるはずがないんです。

ところが、オフィスで信頼されなかったから心理や福祉にという人がいる。

その姿勢は通用しないということを肝に銘じて頂きたいと思います。

第一、援助を受ける側が「迷惑」です。

オフィスで一緒に仕事をしたり、サービスを提供するカスタマーよりも、援助を必要とする人の問題は深刻であり、しかも感情的になりやすい状態。

こうした厳しい条件で援助の仕事をするわけですから、余計に信頼される力をつける必要があるのです。

聞けるようになるとは「聞ける人間になる」ということ

信頼される人間になるには、信頼される人間とはどういうものかの理解が必要。

さらには信頼されるための力をつけることが必要。

そのためにカウンセリングや傾聴を学び、トレーニングを続ける。

そういう風に理解してほしいと思います。

臨床の現場というのは、生易しいものではありません。

一般のオフィスの従業員やカスタマーよりも要求は厳しい。

求められる援助の質も高いものになります。

援助を必要とする人たちが何を求め、何を必要とし、どういう思いや考えでいるのか?

ここをしっかりと理解していることが不可欠です。

では、どうやってそれらを理解すれば良いのか?

だから「聞く」のです。

聞く力が必要になるのです。

正確に聞き切っていく行為がどうしても必要になります。

傾聴力とは人間力、自分を成長させる、磨く、向上させることが必須

そのために「傾聴力」というものを身につける。

カウンセリングや傾聴を勉強する際には、そう捉えて頂きたい。

そして、そのためには、聞ける自分になる必要が出てきます。

今までは「聞けなかった自分」であり「理解できなかった自分」であったわけです。

そこから「聞けるようになる」とは「聞ける人間になる」ということ。

「理解できるようになる」とは「理解できる人間になる」ということ。

つまり、そういう自分に変る、変える努力をするということでもあるのです。

だから、カウンセリングや傾聴を勉強するということは、その部分で「自分自身と向き合う」ことにもなります。

一言でいえば、自分を変える必要があり、そのためには「建設的な自己否定」を受け容れる必要も出てくる。

ここを逃げたり避けたりすれば、残念ながら聞けるようにはならない。

もし、自分が社会適応ができなかったから心理や福祉に逃げよう。

そういう安易な発想なら、先はないと思った方がよいでしょう。

そうではなく、心ある援助をするためには、建設的な自己否定も厭わないという姿勢があるなら、先はあるはずです。

私自身も師匠には、毎度毎度「建設的な自己否定」を迫られました。

そして、むしろ私は「望むところだ」と受けていました。

なぜなら、その方が自分が成長し、変化し、聞けるようになると考えていたからです。

聞けるようになるには、聞ける人間から教えてもらえばいい。

そもそもそう思って師事したからです。

物事、そうやってシンプルに決まったら、後は愚直なまでに貫けばいいだけです。

そういう人こそ、成長し、進歩し、変化していくので、聞く力を少しずつつけていくことができるのです。

【動画】カウンセラーになるための大事な条件

最後に心理カウンセラーになるために大事な条件について、短い動画で解説しました。

ものすごく大事なお話なので、こちらの動画はぜひご覧ください。

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心理カウンセラー・臨床カウンセラー養成塾 塾長 鈴木雅幸(コーチ・企業研修講師)のプロフィール

台湾でも出版された「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」の著者で、心理カウンセラーとして6000件以上(2020年4月現在)のカウンセリングを実施。
5年間にわたりスクールカウンセラーとして教育現場の問題解決にあたり、現在も個別に教育相談を受ける。
大手一部上場企業を始めとした社員研修の講師として10年以上登壇し、臨床カウンセラー養成塾を10年以上運営。
コーチとしても様々な目標達成に携わる。
 詳しいプロフィールはこちら

著書「感情は5秒で整えられる(プレジデント社)」